2011 Fiscal Year Annual Research Report
精子と卵子の融合に不可欠なチロシン硫酸化蛋白の同定
Project/Area Number |
21500385
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 宣哉 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (20302614)
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Keywords | チロシン硫酸化 / 精巣-卵子融合 |
Research Abstract |
Tpst2遺伝子を欠損するノックアウト(KO)マウスは、卵子との膜融合能力に異常があり不妊となることから、卵子との融合に重要な精子蛋白のチロシン側鎖がTPST2によって硫酸化されることが示唆された。 本研究はTPST2によってチロシン硫酸化を受ける精子の蛋白をプロテオーム解析によって同定し、いまだ不明な点が多い精子-卵子の相互認識機構の分子基盤を解明することを目的とした。精巣においてTPST1とTPST2は同等に発現しているため、TPST2欠損によって雄性不妊が起こる理由として、TPST1とTPST2の特定蛋白への特異性に違いがあることが考えられる。TPST2によって選択的にチロシン硫酸化を受ける蛋白を同定するためには、Tpst1 KOとTpst2 KOマウスの精巣で発現する蛋白のチロシン硫酸化の有無を調べることが必須である。しかしTpst1 KOは、正常マウスに比べ小さく、子宮内致死のため出産数が少ない。また、Tpst2 KOマウスは甲状腺機能低下症を発症し精巣の発達に影響を与える。またTpst1/Tpst2ダブルKOマウスは出生直前に致死となる。そこで、これらの症状の精巣に対する影響を完全に排除するために、Tpst2コンディショナルKOマウスを作出することを試みた。研究期間内にTpst2 floxed ES細胞をマウス胚盤胞に移植し、複数のキメラマウスを得た。しかし、研究期間内にKOマウスの作出ができなかったため、Tpst2のhypomorphic変異であるgrtマウスの精巣蛋白を抽出し、受精の際の卵子と精子の形質膜の融合のために必要とされる分子のうち、精子側で発現するIzumo蛋白の発現をwestern blotにて比較した。しかしながらgrtマウスの発現量は正常マウスと同等であり、また、免疫沈降したIzumo蛋白に対して、チロシン硫酸特異的抗体を用いたwestern blotを行ったが、バンドは検出されず、Izumo蛋白がチロシンの硫酸化を受けていないことが示唆された。また、チロシン硫酸特異的抗体を用いた免疫沈降によって、grtマウスでは、約50-60KDaの蛋白の発現が低下していることが明らかとなった。今後、この蛋白の同定とTPST2特異的チロシン硫酸化を受けるか否かを解析する予定である。
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Research Products
(2 results)