2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しいメタボリックシンドロームモデルマウスの病態解析とその分子機構
Project/Area Number |
21500386
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 哲郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20111370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
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Keywords | sequestosome1 / レプチン / 肥満 / 視床下部 / 過食 |
Research Abstract |
研究の内容:我々の作成したsequestosome1遺伝子欠損マウスは、過食が原因で加齢とともに肥満症を呈するマウスである。これまで、肥満となる仕組みについては、脂肪細胞の分化促進が原因であるといわれているが、我々は過食の原因が中枢にあると考え、それを証明するために中枢特異的にsequestosome1を欠損するマウスを作製し、その病態を解析することを目的としてきた。中枢特異的な遺伝子欠損マウスの作成とマウス株のバッククロスにかなりの労力と時間がかかったが、本年度はこのマウスの肥満形成を野生型と比較することが可能となった。その結果、肥満形成はやや加齢が進んでから起きるが、全身で遺伝子を欠損したマウスとほぼ同様の体重増加を示すことが明らかになった。 結果の意義:我々の結果は、中枢におけるSQSTM1/p62タンパク質が摂食行動に抑制をかけ、体重の維持に関与していることを示している。すなわち、脂肪組織におけるSQSTM1の働きよりも、中枢神経細胞における機能が体重調節に重要であることを示している。 重要性:これまでの我々の研究から、食欲を調節する視床下部の神経細胞にSQSTM1は高レベルで発現しており、食欲を抑制するペプチドホルモンであるレプチンのシグナル伝達に関与していると考えられる。その分子機構についてはまだ推測の域を出ないが、我々の実験結果はレプチンシグナルの新規な調節因子であることを示唆している。このマウスは、高血圧症、動脈損傷後の過剰な内膜肥厚、インスリン抵抗性などを示す肥満モデルマウスであり、レプチンのシグナル伝達機構の一端を解明することができる貴重なマウスである。今後、本研究を発展させて生活習慣病を予防する新たな方策を見出すことが可能である。
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