2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染症モデルマウスのp53機能解析
Project/Area Number |
21500390
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大杉 剛生 熊本大学, 生命資源研究支援センター, 准教授 (00211102)
|
Keywords | HTLV-1 / 成人T細胞白血病 / p53 / tax遺伝子 / ATL / マウス |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell leukemia virus type 1 : HTLV-1)は、成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia : ATL)の原因ウイルスであり、HTLV-1がコードするTaxがATL発症に重要であると考えられている。我々は、このTaxを成熟T細胞に特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製し、はじめてマウスにT細胞白血病を引き起こすことに成功した。また、白血病発症前にがん抑制遺伝子p53の機能がすでにこれらマウスでは低下していることも見出した。試験管内では、すでに癌化したATL細胞株を用いて機能低下の原因として以下の2つの仮説が提出されている。 (1)HTLV-1 Taxによるp53のCBPへの会合に対する競合阻害。 (2)Taxがp53セリン15(マウスでは18)のリン酸化を誘導し、NF-κB p65/RelAとの機能的に不活化された複合体の形成を促進。 我々のマウスの解析では、その低下はDNA損傷時にp53の誘導がないことが原因であることを明らかにした。このことは、上に示した2つの仮説のうち、(1)のp53誘導後のCBPへの会合阻害にはあてはまらない。また、p53セリン15(マウスでは18)のリン酸化も認めることはできなかった。以上のことから、我々の癌化前マウスの解析からは、2つの仮説以外の要因によって、p53機能低下が起っていることが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)