2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染症モデルマウスのp53機能解析
Project/Area Number |
21500390
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大杉 剛生 熊本大学, 生命資源研究支援センター, 准教授 (00211102)
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Keywords | HTLV-1 / 成人T細胞白血病 / p53 / tax遺伝子 / ATL / マウス |
Research Abstract |
がん抑制遺伝子p53は、多くのがん細胞において機能が低下しており、成人T細胞白血病(ATL)患者においてもみられる。がん患者のおおよそ50%はp53に変異がみられ、機能低下の一因と考えられる。一方、ATL患者では通常のがんに比較し、その変異は半分である。 我々が作製したHTLV-1Taxを発現するトランスジェニック(Tg)マウスにおいては、ATLに似たT細胞白血病を引き起こすが、p53の変異は観察されていない。ATLにおける変異以外のp53機能低下の機構としては以下の2つの仮説がある。 1HTLV-1 Taxによるp53のCBPへの会合に対する競合阻害。 2Taxがp53セリン15(マウスでは18)のリン酸化を誘導し、NF-κB p65/RelAとの機能的に不活化された複合体の形成を促進。 前年度の検索により、Tax-Tgマウスでみられる機構はこれら以外であることを明らかにした。Tax-Tgマウスでは、DNA損傷においてp53の誘導、安定化がみられない。このことは、p53経路の上流のATM-Chk2経路に問題のある可能性がある。そこで、ATM、Chk2の誘導および活性化の指標であるリン酸化について検討したが、Tax-Tgマウスでは同腹のnon-Tgマウスと比較し差がみられなかった。以上まとめると、Tax-Tgマウスでみられるp53機能低下は変異によるものはほとんどなく、ATM-Chk2経路以外の要因によって、DNA損傷時にp53が誘導、安定化が阻害されているということが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)