2009 Fiscal Year Annual Research Report
β細胞障害を呈する新規変異マウスを用いた糖尿病発祥機序の解明
Project/Area Number |
21500394
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 麻紀 独立行政法人理化学研究所, 疾患モデル評価研究開発チーム, 開発研究員 (90321728)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Keywords | 糖尿病 / モデルマウス / β細胞 / 突然変異 / RNAi / インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学変異原ENUにより作出した糖尿病モデルマウスである変異系統Mは幼若時から重篤な高血糖を発症し、その原因と考えられる点突然変異は既知の糖尿病原因遺伝子とは異なる遺伝子上に存在する。本系統の詳細な表現型解析と原因遺伝子の細胞レベルでの機能解析を実施した。 1. 膵β細胞障害の発症・増悪の過程についての解析結果 : ラ氏島構成細胞が分泌するホルモン4種それぞれに対する免疫染色を実施し、陽性面積を野生型と比較したところ、変異マウスではインスリン陽性面積が生後3日から減少し1週齢で野生型よりも有意に減少していた。以上より、当変異系統では生後直後よりβ細胞でのインスリン産生機能低下あるいはβ細胞死などの重篤な障害が起こっていることがわかった。 2. 各種ストレスや細胞死関連遺伝子の発現レベル解析 : 高血糖の発症前後(生後0~7日)の膵ラ氏島をレーザーマイクロダイセクションで回収し、ラ氏島における各種ストレスや細胞死関連遺伝子の発現レベルを解析したところ、いくつかの因子において変異系統で発現上昇の傾向が見られた。有意差についてはサンプル数をさらに増やすことが必要と思われた。 3. 変異遺伝子の細胞内での機能解析 : ラット膵β細胞由来のINS-1細胞において変異遺伝子をRNAiにより発現抑制したが、細胞の機能(インスリン分泌能など)への影響・増殖能・細胞死が誘発などについて優位な変化は見られなかった。変異マウスで誘発されている変異はミスセンス変異であり、機能低下ではなく、亢進が高血糖表現型の発症を誘発する可能性も高い。このため、来年度は、レンチウイルスを用いた強制発現系においても細胞増殖・インスリン分泌能・細胞死への影響を解析する計画である。
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Research Products
(2 results)