2010 Fiscal Year Annual Research Report
β細胞障害を呈する新規変異マウスを用いた糖尿病発祥機序の解明
Project/Area Number |
21500394
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 麻紀 独立行政法人理化学研究所, 疾患モデル評価研究開発チーム, 開発研究員 (90321728)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Keywords | 糖尿病 / モデルマウス / 突然変異 / β細胞 / 遺伝的背景 / インスリン分泌 / ENU / 原因遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学変異原ENUにより作出した糖尿病モデルマウスである変異系統Mは幼若時から重篤な高血糖を発症し、その原因と考えられる点突然変異は既知の糖尿病原因遺伝子とは異なる遺伝子上に存在する。今年度は、原因遺伝子の細胞レベルでの機能解析並びに遺伝的バックグラウンドの影響について検討し、該当変異遺伝子を発現する、TGマウスの作成に着手した。 1. 変異遺伝子の細胞内での機能解析 : 昨年度までに、ラット膵β細胞由来のINS-1細胞において変異遺伝子をRNAiにより発現抑制したが、細胞の増殖能や細胞死に関して、有意な変化は見られなかった。今年度は、レンチウイルスを用いた強制発現系において解析を実施したところ、変異型を発言させた細胞では、細胞死が高率に誘導されること、また、この細胞死に先立って、インスリン分泌能が傷害されおり、マウス個体における表現型と一致する結果が得られた。 2. マウス表現型の遺伝的バックグラウンドの影響 : 当変異系統はDBA/2J x C57BL/6JのF1をfounderとして検出し、その後、DBA/2への戻し交配個体煮おいて解析が進められ、各世代において、雌雄共にほぼpenetrance 100%で高血糖を発症し、表現型に有意な差は見られなかった。しかし、C57BL/6Jへの戻し交配ではN2以降で既にpenetranceの低下が見られ、特に♀個体では発症率が10%未満となった。 3. TGマウスの作成 : 当該遺伝子の野生型ならびに点突然変異型を全身で発現、あるいは膵ラ氏島に特異的に発現するTGマウスの作成を目的とし、発現コンストラクトを作成した。現在受精卵へのinjectionによりTG個体を作成しつつある(産仔生産ならびにgenotyping進行中)。
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