2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理機能診断に資する超偏極希ガスの生体磁気共鳴計測法の開発と応用
Project/Area Number |
21500408
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 敦臣 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70303972)
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Keywords | 超偏極キセノン / 生体磁気共鳴計測 / シネMRI画像 / 換気 / 拡散 / 灌流 / 脳内緩和時間 |
Research Abstract |
本研究では感度不足という生体磁気共鳴(MRI/MRS)計測に固有の問題を乗り越えるべく連続フロー型超偏極キセノン製造装置を開発し、研究初年度において生体磁気共鳴信号の約10%増強、即ち1万倍の感度向上を達成した。本年度は、この飛躍的に感度向上した偏極希ガスの生体MRI計測条件を最適化することにより、マウス肺のシネMRI画像を実に0.05秒/枚という高時間分解能で取得することを可能とした。これにより呼気位相と吸気位相とを分離撮像できるので、これらの画像をもとに呼吸機能パラメータである、換気率(1回の呼吸でどの程度肺中のガスが入れ替わるかを示す指標)、ガス拡散(ガスが肺胞中と血液中とでどの程度入れ替わるかを示す指標)、および灌流(血流速度)を画像診断する手法を開発した。本手法をエラスターゼ誘発肺気腫モデルマウスに適用して、病態が惹起する呼吸機能変化を局所定量評価することができ、この変化が病理診断結果と相関することを確認した。 本年度は、肺診断手法開発と並行して肺から脳へ移行したキセノン脳内動態から緩和時間を測定するための手法の開発も併せて行った。本測定手法は、肺におけるキセノンの取り込み一洗い出し動態、即ち入力関数の測定を不要とする全く新しい手法であり、これにより肺病態モデルマウスの脳機能変化を簡便に健常マウスと比較することができた。その結果、肺気腫モデルマウスにおいてキセノン脳内緩和時間が約20%まで低下することを確認した。この低下が酸素摂取率低下、即ち脳神経活動の低下に起因するかどうかの確認実験を継続して行う予定である。
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Research Products
(3 results)