2011 Fiscal Year Annual Research Report
生理機能診断に資する超偏極希ガスの生体磁気共鳴計測法の開発と応用
Project/Area Number |
21500408
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 敦臣 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70303972)
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Keywords | 超偏極キセノン / 生体磁気共鳴計測 / 換気 / 拡散 / 潅流 / 脳血流量 / 慢性閉塞性肺疾患 / 肺・脳機能連関 |
Research Abstract |
本研究では感度不足という生体磁気共鳴(MRI/MRS)計測に固有の問題を乗り越えるべく連続フロー型超偏極キセノン製造装置を開発し、研究初年度において生体磁気共鳴信号の約10%増強、即ち1万倍の感度向上を達成した。さらに、2年目では超偏極希ガスの生体MRI計測条件を最適化することにより、マウス肺のシネMRI画像を実に0.05秒1枚という高時間分解能で取得することを可能とし、呼気位相と吸気位相画像をもとに呼吸機能パラメータである、換気率(1回の呼吸でどの程度肺中のガスが入れ替わるかを示す指標)、ガス拡散(ガスが肺胞中と血液中とでどの程度入れ替わるかを示す指標)、および灌流(血流速度)を画像診断する手法を開発した。本手法をタバコ煙薬液ならびにエラスターゼ誘発慢性閉塞性肺疾患(COPD)モデルマウスに適用して、病態が惹起する呼吸機能変化を局所定量評価することができ、この変化が病理診断結果と相関することを確認した。 最終年度である本年度は、生体磁気共鳴信号の2万倍の感度向上を成功し、これをもとにしてCOPDモデルマウスについて肺機能に加えて脳内キセノン緩和速度から脳機能を同時計測し、この2つの機能の間の連関を調べた。その結果、脳内キセノン緩和速度が最大で約2倍程度まで上昇し、この上昇の度合いは肺機能低下と負の相関があることを確認した。このことは、COPD患者において健常の10%程度の血流量増加が観測されるとの報告を支持するが、併せて脳内におけるキセノンの緩和速度も大幅に上昇しているとの新たな知見をもたらし、この上昇が酸素摂取率低下即ち脳神経活動の低下の定量指標となる可能性が示唆された。COPDは精神疾患発症も伴う全身性の疾患であり、肺・脳機能連関についての意義を解明する必要がある。
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Research Products
(5 results)