Research Abstract |
【目的】病理組織の画像解析において,これまでほとんど利用されることの無かった暗視野画像を利用することで,従来の明視野画像だけではできなかった新しい解析手法を実現すると共に,診断に有用な特徴量の算出法を実現する. 【研究成果】H23年度は,まず前年度までに実現した構成要素の識別法,特徴量の抽出法の改良を実施した.具体的には,N/C比算出において重要となる核輪郭抽出精度を改善した.そして,細胞膜についてもその抽出結果を自動的に改善する手法を実現した.昨年度までの細胞膜の抽出結果では,細胞膜の一部が抽出されていないために細胞膜が閉領域になっていない細胞があり,その部分のGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)による修正が必要となっていた.その手間を削減するため,細線化,端点検出,最小2乗法による直線近似などを利用し,欠損した細胞膜を自動的に修復する機能を実現した,従来は細胞膜のうち約92%が閉領域となっていなかったが,改良によりその割合を約59%に低減でき,GUIによる修正の手間を大幅に削減できた,また,この改善により細胞面積の誤差も低減され,結果的にN/C比の誤差を従来の約2/3に低減できた. そして,これらの機能を診断支援システムに組み込み,利用者が容易に利用できるようにした.実現したシステムは核の位置と輪郭,細胞膜の自動抽出とGUIを用いた修正機能を持ち,様々な特徴量を算出することができる.複数の標本を用いた評価の結果,算出できる特徴量のうち,少なくとも核密度,核の円形度,核の集中度については初期の肝細胞癌の診断に有用と考えられる.
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