2009 Fiscal Year Annual Research Report
中腎管細胞を用いた中腎管の再構築およびネフロン誘導能を有する尿管芽の作成
Project/Area Number |
21500424
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
城倉 浩平 Shinshu University, 医学部, 准教授 (30303473)
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Keywords | 中腎管 / 尿管芽 / 腎臓 / 再生 / FGFシグナル / GDNFレセプター / 組織工学 |
Research Abstract |
中腎管は、後腎間葉からの成長因子GDNFに応答して尿管芽を形成し、腎臓発生をもたらす原基であり、中腎管細胞の能力をいかにして維持するかは、腎臓再生研究を進める上でも極めて重要な課題である。平成21年度は、研究実施計画に掲げたとおり、胎児組織およびその培養系の遺伝子発現解析を通して、中腎管維持に関わる因子の探索を行った。その結果、1)中腎管および中腎間葉にはFGF9が強く発現しており、その他のFGFは低発現であること、2)7つのFGFレセプターのうち、中腎管に主要に発現するは2b isoformであるが、FGF9に親和性が高いと考えられる1c、2c、4も発現していること、3)FGF9により培養中腎管のGDNFレセプターRet・GFRα1発現はupregulateされ、これはFGFレセプター阻害剤で顕著に抑制されること、4)FGF9は培養中腎管の細胞増殖を維持し、アポトーシスを抑制すること、5)FGF9は7日を超えて培養中腎管の成長を保ち、これをラット後腎間葉と共培養すると、中腎管は分枝成長しつつネフロンを誘導すること、6)FGF9は中腎間葉にも作用し、成長因子発現を変動させること、などが明らかになった。 この研究により、FGF9シグナルが中腎管の維持に大きく関与していることが明らかとなり、また責任レセプターも絞り込まれてきた。生理的には、FGF9に対する中腎管・間葉双方の応答の均衡の上に中腎管の能力が維持されていると予想される。この機構の詳細を解明していくことにより、in vivoで行われている中腎管維持をin vitroでも再現できると考えられ、並行して進めている中腎管細胞培養系の構築、引いては細胞利用による腎臓組織再生にもつながるものと期待される。これらの成果は第9回日本再生医療学会総会で発表し、現在、論文準備中である。
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