2010 Fiscal Year Annual Research Report
中腎管細胞を用いた中腎管の再構築およびネフロン誘導能を有する尿管芽の作成
Project/Area Number |
21500424
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
城倉 浩平 信州大学, 医学部, 准教授 (30303473)
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Keywords | 中腎管 / 尿管芽 / 組織工学 / 腎臓 / 再生 / 成長因子 / FGF |
Research Abstract |
腎臓の組織再生には、発生メカニズムに基き、腎管系(中腎管や尿管芽)上皮細胞と後腎間葉細胞との相互作用による組織誘導を利用する方法が考えられる。中腎管の維持機構や成長因子に対する応答を解明することにより、腎臓再生への組織工学的応用が期待できる。 平成22年度の研究では、中腎組織の成長因子とそのレセプターの遺伝子発現解析を進め、線維芽細胞増殖因子(FGF)については全22種を網羅した。特に組織工学に有用なCanonical FGF(15種)では、前年度報告したFGF9に加え、FGF18, FGF22が中腎管および周囲間葉に高発現していることが明らかになった。これらはFGF9のような中腎管培養維持効果を持たず、修飾的に働くと考えられる。FGF1とFGF7も中腎管培養を維持するが、発現量はFGF9に比べ有意に低い。FGFレセプター、MAPK経路、PI3K-Akt経路に対する各阻害剤の添加によりFGF9で培養した中腎管のRet・CyclinD1発現が有意に低下することからも、中腎管細胞の生存・増殖・GDNF応答能にはFGFレセプターシグナルが不可欠であると考えられる。Homone-like FGF(3種)は、レセプターKlothofamilyと共に発現は高くなかった。また、細胞内で働くIntracellular FGF(4種)のうち、FGF11, FGF12, FGF13の発現が高く、その意義も興味深い。その他、BMP, Wnt, EGF, IGF-I, SCFについてレセプターと共に中腎組織での発現を確認したが、中腎管培養を維持できるものは見つかっていない。中腎管細胞の初代培養は、FGF9添加により維持期間の延長が認められるものの、充分な細胞増幅には至らない。細胞間結合、細胞外マトリクスとの接着の変化による細胞死等の影響が考えられ、さらに検討を要する。
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