2011 Fiscal Year Annual Research Report
中腎管細胞を用いた中腎管の再構築およびネフロン誘導能を有する尿管芽の作成
Project/Area Number |
21500424
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
城倉 浩平 信州大学, 医学部, 准教授 (30303473)
|
Keywords | 中腎管 / FGF / FGFレセプター / 成長因子 / 腎臓 / 再生 / 組織工学 / 相互作用 |
Research Abstract |
(1)中腎管・周囲間葉に発現する因子の役割解明 平成23年度の研究では、まず中腎組織に発現するFGFとそのレセプターについて、これまでの所見を踏まえ精査し、中腎管維持機構における役割を検証した。FGFに関しては、報告してきたFGF9とFGF18、FGF22は中腎管と間葉の双方に、FGF5は問葉に、FGF17は中腎管に発現することを確認した。これらの中ではFGF9のみが培養中腎管の成長を維持する。遺伝子発現解析から、FGF9は中腎管の生存・増殖・Ret発現を支持することが分かった。培養中腎管に対するFGF9の作用は、これまで報告されていたFGF1とFGF7に類似しており、特に中腎管の長期培養を維持する点でFGF7にほぼ匹敵する。また、FGFレセプターに関しても中腎組織における発現パターンを明らかにした。レセプター活性化に関する報告と照らして、中腎管では2cと3bが主要にFGF9を受容している可能性が高い。一方で、間葉細胞もFGF9で活性化される2cレセプターを持つことから、FGF9は間葉細胞を介して中腎管のコンピテンスに何らかの働きを持つ可能性が考えられる。以上の結果を本課題研究の成果の一部として論文にまとめた(投稿中)。中腎管分化応答能の維持機構の一端が明らかになったことで、後腎間葉との相互作用による腎臓組織誘導に向けた前進であり、継続的な研究推進により腎臓組織再生への応用が期待できる。 (2)中腎管細胞の培養と組織化 中腎管細胞の初代培養にFGF9を添加し、培養期間の延長を図った。また、細胞間結合の変化によるアポトーシスを抑制する目的でBlebbistatin (myosinII阻害剤)を併用し、効果を検証した。これらの使用により、中腎管細胞の培養維持期間の改善が認められ、細胞増幅のための条件基盤が得られた。組織化については、中腎管初代培養細胞のシート状剥離の検討を進めている。
|
Research Products
(2 results)