2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体注入型セラミックス粉体の分極処理と骨再生促進効果
Project/Area Number |
21500429
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
伊藤 聰一郎 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 教授 (10242190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 仁大 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 所長 (70174670)
王 巍 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 支援研究員 (60451944)
|
Keywords | 電気分極 / ハイドロキシアパタイト / β-TCP / 粉体 / 多血小板血漿(PRP) / 骨再生 / 電荷担体 / イオン伝導 |
Research Abstract |
目的:電気分極処理により蓄積された大きな電荷は、細胞を活性化する効果がある。本研究では、(1) これまで不可能とされていたβTCPを分極処理する技術を確立するとともに、μサイズの粉体を作製し、これを分極する装置を開発すること、(2) 分極処理ハイドロキシアパタイト(HA)あるいはβTCP粉体を多血小板血漿(Platelet Rich Plasma : PRP)に混合し、体内へ注入可能なゲルに調整すること、(3) この複合ゲルを骨欠損部に注入して骨形成を促進する、非侵襲的骨折治療法を考案することを目標とする。 方法:β-TCPとHA粉体を作製し、アルミナリング(内径2cm、厚さ0.5cm)に充填し、対向白金電極を用いて、400℃, 1h, 4kV/cm (2000V)の条件下に分極処理した。微少電流測定装置を用い、5℃/minの等速昇温で室温から700℃の温度範囲で熱刺激脱分極電流(TSDC)を測定した。HAとβTCP粉体が均一に分散するよう粉体の粒径と混和比率を調整するとともに、適度の強度と弾性にゲル化できるように自己血清との混和法を検討した。家兎の両側大腿骨内側顆部および脛骨粗面に径3mm、長さ5mmの骨孔を穿ち、以下の5群を作製した(各群N=6)。骨孔のみ、PRPゲルのみ、粉体のみ、PRP+未分極粉体混合ゲル、PRP+分極極粉体混合ゲル移植群。6週後採取してμCTと組織標本で骨再生を評価した。 結果と考察: 蓄積電荷量はβ-TCPが17.6±4.8μC/cm^2、HAが11.1±2.9μC/cm^2だった。分極緩和のアレニウスプロットを作成し算出した活性化エネルギーは、β-TCPが1.63±0.08eV、HAは1.04±0.5eVであった。β-TCPがHAに匹敵するイオン伝導に有利な組成と構造を有していることが示唆された。HA中のイオン伝導における電荷担体はプロトンであるが、β-TCPではCa^<2+>イオンやO^<2->イオンが担体として考えられる。 家兎より採取した試料のμCT撮影はすべて完了し、脱灰HE標本、非脱灰研磨標本でTRAP染色とビラーヌーバ・ゴールドナー(VG)染色を行っている。
|
Research Products
(13 results)