2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体注入型セラミックス粉体の分極処理と骨再生促進効果
Project/Area Number |
21500429
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 歯学部・口腔保健学科, 非常勤講師 (10242190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 仁大 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70174670)
王 巍 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60451944)
|
Keywords | 自己血由来多血小板血漿(PRP) / ハイドロキシアパタイト / 炭酸アパタイト / 粉体 / 電気分極処理 / 骨形成促進 / 担体 |
Research Abstract |
【目的】バイオセラミックスは骨代替材料として広く用いられている。その粉体は多様な骨欠損形態に対応できるが操作性が悪いため、適正な担体を必要とする。創傷治癒促進効果や止血効果のある自己血由来多血小板血漿(PRP)にこれらを混合することにより、生体内活性化ゲルを作製できる。我々は電気分極処理したバイオセラミックスが骨形成を促進させることをこれまでの研究で証明してきた。今回の研究では、μサイズの分極処理したハイドロキシアパタイト(HA)あるいは炭酸アパタイト(CA)紛体をPRPに混合して骨欠損部へ埋入し、骨形成促進効果を比較した。 【方法】日本白色家兎の耳より2~4mlずつ採血し4℃,2400rpmで8分間遠心分離した。上層の血漿成分を採取して得たPRPを翌日まで冷蔵保存した。移植直前に未処理、あるいは分極処理したHA,CA粉体とトロンビン溶液、塩化カルシウム溶液をPRPに混和しゲル化した。日本白色家兎両側大腿骨内側顆部に直径3mm、長さ5mmの骨孔を穿ち、以下の実験群を作製した(各群N=6)。PRP+分極HA,分極CAゲル(PRP+pHA,pCA)、PRP+未分極HA,未分極CAゲル(PRP+HA,CA)、分極あるいは未分極HA,CA(pHA,HA,pCA,CA)を移植した8群。PRPのみを移植、骨孔のみの2群を対照とした。埋入6週後に周囲の骨を含めて試料を採取し、μCTと組織標本により骨孔内骨再生を評価した。 【結果と考察】PRP+pHA,HAではHA粒子が観察されたが、PRP+pCA,CAではCA粒子が確認できなかった。CA粉体はHA粉体に比べ吸収速度が速いため骨原性細胞の足場あるいは電気分極効果が長期間発揮できないことが危惧された。新生骨量はpHAが骨孔より有意に大かったがHAでは有意差なく、HAの電気分極効果が確認された。さらに、PRP+CA,PRP+HAの新生骨量がPRP,骨孔より多く、PRP+HAがHAより、またPRP+pHAがpHAより新生骨量が有意に多かった。PRP中でHA,CA粒子がフィブリン網に絡んで分散し、これらの粒子が骨欠損部へ保持されるためと考えられる。一方、PRPのみでは新生骨が形成されず、PRP自体の骨伝導能は低いが、粉体の担体としては有効であることが確認された。
|
Research Products
(7 results)