2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体注入型セラミックス粉体の分極処理と骨再生促進効果
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21500429
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 歯学部・口腔保健学科, 非常勤講師 (10242190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 仁大 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70174670)
王 魏 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60451944)
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Keywords | 自己血由来多血小板血漿(PRP) / ハイドロキシアパタイト / 炭酸アパタイト / 粉体 / 電気分極処理 / 骨形成促進 / 担体 |
Research Abstract |
これまで多血小板血漿(PRP)はハイドロキシアパタイト(HA)粒子の担体として有効であること、分極したHA粒子は骨芽細胞を活性化し骨形成を促進することを報告した。今回はHA粒子の電気分極がより早期における骨原性細胞の活動に及ぼす効果を検討した。 方法:日本白色家兎より得たPRPに分極または未分極HA粉体を加え、混和ゲルを作製した。これを走査型顕微鏡(SEM)で観察した。日本白色家兎の大腿骨内側顆部にドリルで直径3mm、深さ5mmの骨孔を開け、PRP+分極HA、PRP+未分極HA、PRPゲルのみ、分極HA粉体のみ、未分極HA粉体のみ、骨孔のみを埋入した(各N=6)。3週と6週後に試料を採取し、μCT撮影と組織評価(Villanueva Goldner : VG染色、TRAP/Toluidine blue二重染色)を行った。 結果:PRP+HA粉体ゲルでは、PRPのフィブリン網にHA粒子が固定化されていた。PRPのみと骨孔のみでは骨が形成されなかった。(1)骨孔における新生骨の割合:埋入後3週で新生骨はPRP+分極HA群において有意に多く形成されていた。6週後ではPRP+分極HA、PRP+未分極HAが他群より有意に大きく、分極HA粉体が対照群より大きかった。(2)骨梁表面の骨芽細胞占拠率:骨孔における新生骨の割合と同様の傾向が見られた。(3)骨孔内破骨細胞密度:埋入後3週でPRP+分極HA、PRP+未分極HAが対照群より大きく、6週ではこの2群、特に前者が他群より有意に大きかった。 考察:PRP+分極HAとPRP+未分極HAの2群で骨芽細胞の活性が増強され、その結果新生骨形成が促進された。この効果は分極HAとPRPを複合化することでより早期に生じることが示唆された。さらに、この2群で破骨細胞がより早期から活性化されるが、PRP+分極HA群でこの効果が長く持続した。これはHA粉体の分極により骨のリモデリングが長く持続することを示唆している。以上より、PRPはHA粉体の優れたキャリアであり、分極HA粉体を混合することにより、早期より生じた骨原性細胞の活性化が持続して、骨形成を増強することが示された。
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Research Products
(11 results)