2011 Fiscal Year Annual Research Report
GATA-3分子を基盤とした金属アレルギー誘導能と形状記憶合金の生体適合性評価
Project/Area Number |
21500431
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
玉内 秀一 北里大学, 医学部, 助教 (60188414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小茂鳥 潤 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (30225586)
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Keywords | GATA-3 / ニッケル / 接触性皮膚炎 / トランスジェニックマウス / 形状記憶合金 / サイトカイン |
Research Abstract |
金属アレルギーへのTh2型免疫反応の関与についてTh2型免疫反応制御分子GATA-3の遺伝子導入トランスジェニック(Tg)マウスを用いて検討すると共に、生体適合性材料開発評価系としての有用性について検討した。 その結果、(1)Ni試験片感作GATA-3Tgマウス耳介へのNi再刺後の経時的腫脹は、接種後1時間から3時間目に最初のピークを認め、24時間以降GATA-3Tgマウスにおいて、WTマウスの約3倍の腫脹が72時間後まで観察された。しかし、その後の反応はGATA-3Tgマウス及び対照マウス(WT)マウスにおいて同じ程度の腫脹で推移した。(2)Ni試験片感作GATA-3Tgマウス血中総IgE量は、Ni感作されていないGATA-3TgマウスのIgE量と比較して約2倍高かった。しかし、WTマウスでは感作の有無に関わらず総IgE量に有意差は認められなかった。また、IgG1及びIG2aの検討では、GATA3-Tg及びWTマウスの間に有意差を認められなかった。(3)Ni試験片感作GATA-3TgもしくはWTマウスの脾臓CD4陽性細胞を、RAG2ノックアウトマウスに移入しNiに対する耳介腫脹反応を検討した。Ni感作GATA-3Tgマウス脾臓CD4陽性細胞を移入したRAG2KOマウス耳介はWTマウスに比して約3倍の腫脹が観察された。(4)酸素拡散処理Ni試験片で感作したGATA-3TgマウスNi対する腫脹反応を測定した。耳介腫脹は同様に推移するにも関わらず腫脹反応の程度は、未処置Ni試験片に比して約1/5倍減少(80%の抑制)した。(5)Ni試験片感作マウス耳介助組織内のサイトカインは、GATA-3TgマウスでIL-4の増加とIFN-γはそれに相反して減少した。 以上の結果、Niアレルギー誘導において、CD4陽性細胞依存的なTh2型免疫反応の関与が示唆された。また、酸素拡散処理Ni合金ではNiに対するアレルギー誘導が著明に抑制され、この反応は金属のイオン溶出度と相関関係にあった。GATA-3Tgマウスは、生体材料のNiアレルギー誘導能を早期の段階で検出可能にすると共に、生体材料開発に貢献できることが示された。本年度は、研究の総括および今後の研究計画を一部推進させた。
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Research Products
(5 results)