2009 Fiscal Year Annual Research Report
積層化再生組織内における血管前駆構造体の形成機構と機能に関する研究
Project/Area Number |
21500433
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
笹川 忠 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (30424675)
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Keywords | 組織工学 / 再生医療 / 細胞シート / 血管新生 / 三次元積層化共培養 / 血管内皮細胞ネットワーク形成 |
Research Abstract |
組織工学的手法を用いて作製した再生組織の移植後における機能発現には、ホストの血管系との結合による酸素・栄養分の供給および老廃物の除去が重要である。申請者は、再生組織内に毛細血管網を導入する方法として、血管内皮細胞をシート状態にある培養細胞(細胞シート)でサンドイッチ状に挟み込んで組織再構築を行う積層化技術を確立している。それを用いることで、積層化再生組織内において挟み込んだ血管内皮細胞が網目状のネットワーク構造(血管前駆構造)を形成すること、さらにその積層化再生組織を皮下組織へ移植した場合に組織内に構築された血管内皮細胞の網目構造を反映するような毛細血管網形成が移植後早期に誘導されることを見出した。本研究では、この細胞シート三次元積層化共培養法によって再構築された積層化組織を新しい血管新生モデルとして用い、血管前駆構造体の形成機構ならびに移植後に誘導される血管新生の機序を解明することで、血管形成に関する新たな知見の獲得を図る。今年度においては、ヒト大動脈由来血管内皮細胞をヒト皮膚由来線維芽細胞シートで挟み込んで作製した血管前駆構造体を有する積層化組織ならびに線維芽細胞のみで構成された積層化組織を用い、血管前駆構造体形成に関わる分子を同定するためにDNAマイクロアレイ解析による網羅的探索を行った。その結果、血管前駆構造体を有する積層化組織で特異的に発現する分子を複数同定した。この中には、血管新生の過程で発現することが知られている分子がいくつか含まれていた。今後は、これらの分子が挟み込んだ内皮細胞特異的な発現様式なのか、さらに血管前駆構造体形成にどのように関与しているのかについて検討を行う予定である。また、移植後早期に誘導される血管新生の機序に関しては、積層化組織が産生する液性因子の関与が考えられるため、現在その培養上清の解析を進めている。
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