2010 Fiscal Year Annual Research Report
積層化再生組織内における血管前駆構造体の形成機構と機能に関する研究
Project/Area Number |
21500433
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
笹川 忠 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30424675)
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Keywords | 組織工学 / 再生医療 / 細胞シート / 血管新生 / 三次元積層化共培養 / 血管内皮細胞ネットワーク形成 |
Research Abstract |
当該年度においては、前年度に実施したDNAマイクロアレイ解析結果を基に、特に血管前駆構造体を有する積層化組織のみで発現を認められ、かつ機能が不明である遺伝子に絞り込んで解析を行った。その中の1つの遺伝子に関しては、各種ヒト由来の正常細胞およびガン細胞での遺伝子発現を調べた結果、血管内皮細胞特異的な発現様式である可能性が示された。さらに、タンパク質レベルでの解析を行うために発現ベクターを構築し、ハムスター卵巣由来CHO-K1細胞に一過性に遺伝子導入を行った。その結果、培養上清中に遺伝子産物を検出できたことから、分泌型のタンパク質である可能性が示唆された。今後は、この分子が実際に血管内皮細胞で産生されているのかを検証するとともに、血管前駆構造体形成への関与を含めてどのような機能を有するのかを検討する。一方、血管前駆構造体を有する積層化組織の移植後における血管新生の機序に関しては、積層化組織から産生された液性因子による関与が大きいものと考え、血管前駆構造体の有無による条件下で培養上清中に分泌されたタンパク質の比較を行った。その結果、血管前駆構造体を有する積層化組織において、特にVEGFファミリーに属するサイトカインであるPlGF(胎盤増殖因子)ならびに細胞外マトリックス分解酵素であるMMP-9の産生が亢進していることが明らかとなった。以上のことにより、これらの分子が移植後の毛細血管網誘導に関与している可能性が示唆された。
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