2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを利用した部位選択的骨伝導能を有する人工関節軟骨の開発
Project/Area Number |
21500435
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
速水 尚 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20173057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 正暢 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (20282238)
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Keywords | 人工関節軟骨 / 生体材料 / 生物・生体工学 / ハイドロキシアパタイト / 超薄膜 |
Research Abstract |
平成21年度の実績として、擬似体液由来アパタイト(SBF-HA)薄膜の骨伝導能が期待したほど良好でなかった事実について原因究明に努めた。究明には多くの試験片を用いた統計的検討が必要であった。一方で動物実験の抑制・回避も必要であったため、動物実験の代替として擬似体液浸漬法を採用して試験片の骨伝導能を評価した。正しく評価するため、SBF-HA使用を発案する基となった牛骨由来アパタイト(B-HA)の骨伝導能に関する実験もH21年度末から開始して、両アパタイトの組成、結晶構造や熱処理の影響の観点から原因究明を試みた。その結果、合成アパタイトに比べて高い骨伝導能を発揮するSBF-HAの精製法を開発できた。B-HAやSBF-HAを薄膜化して各種インプラントを被覆する方法は、骨伝導能の向上のみならずインプラントの構造に由来する機能や力学的強度の保証に極めて有効であり、人工関節軟骨を骨床に固定する重要な方法であることを再確認した。同時に、人工関節軟骨であるPVAハイドロゲルの耐摩耗性を向上するために、PVA分子鎖に結晶化と配向性を加える圧縮加熱法を適用してその有効性を検証した。その結果、摩耗量を従来値の1/3に減少することができる圧縮加熱条件を決定することができた。 アパタイト薄膜と基材としての人工関節軟骨の密着強さを保証することは、実用化に向けて重要な課題である。密着強さにつき、H21年度は定性的な検索に留まっていたが、H22年度では12MPa程度との定量値を提示するに至った。しかし、現段階では測定精度に問題が残っており、今後対策を要する。 当初動物実験を予定していたが、擬似体液浸漬法を用いることでアパタイト薄膜の骨伝導能を評価できたことは、一つの成果といえる。平成22年4月に提出した本補助金交付申請書記載の計画に沿った活動はほぼ実行することができたと判断する。
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Research Products
(11 results)