2010 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動における左房壁細動の定量評価:二次元スペックルトラッキング法による解析
Project/Area Number |
21500449
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
木佐貫 彰 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20224917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 忠和 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10163891)
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Keywords | 心エコー図 / 心房細動 / 心機能 |
Research Abstract |
本研究の課題における左房壁細動は左房壁のoscillationと記載されているので、今後は振動ということばに変更したい。本年度の交付申請書に沿って左房の振動ストレインと収縮末期最大ストレインの2つの指標を解析したが、2つの指標の意義は全く異なるので、それぞれの指標単独でデータまとめたい。以下が今年度の研究結果であり、2011年5月の日本超音波医学会と同年6月のAmerican Society of Echocardiography Scientific Sessionsで発表予定である。 【目的】二次元スペックルトラッキング法により心房細動(AF)にみられる左房壁の振動を定量化し、それに関連する因子を見出すことを目的とした。 【方法】対象は48例のAF症例であった。心エコー検査と経食道エコー検査を行った。心尖部四腔及び二腔断層エコーの動画像において描出される左房壁にトラッキングのROIをおき、Longitudinalストレインを解析した。左房の6セグメントから収縮末期をピークとするストレイン曲線が得られた。左房壁振動のストレインは全心周期を通じて約100-200 msecの間隔で波打つような曲線として認められ、1心周期で最大の振動ストレインを計測した。左心耳血流速度波形、左房容量、左室拡張末期径、左室駆出率、拡張早期の左室流入血流速度(E)とその減速時間、拡張早期僧帽弁輪運動速度(E')及びE/E'を求め、最大振動ストレインとの相関を検討した。全ての指標は3-10心拍の平均値で求めた。 【結果】平均最大振動ストレインの平均は2.8±1.3%(range 0.9-7.1%)であった。平均最大振動ストレインは左心耳血流速度波形(r=0.61,p<0.0001)との間に有意な正相関を、最小左房容量(r=-0.52,p<0.001)、左室拡張末期径(r=-0.31,p<0.05)及びE/E'(r=-0.31,p<0.05)との間に有意な負相関を認めた。ステップワイズ重回帰分析により左心耳血流速度波形が平均最大振動ストレインと関連する独立した因子として採択された。 【結論】二次元スペックルトラッキング法はAF症例の左房壁振動の定量評価に有用であり、平均最大振動ストレインは左心耳血流速度波形と関連することが示唆された。
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