2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のバランス運動学習における脳内シナプス修飾に関する実験動物学的研究
Project/Area Number |
21500471
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
前島 洋 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (60314746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出家 正隆 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (30363063)
金村 尚彦 埼玉県立大学, 医療保健福祉学部, 講師 (20379895)
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Keywords | シナプス / グルタミン酸受容体 / バランス / 学習 / 運動 |
Research Abstract |
成体齢および高齢老化促進モデルマウスに対し、focal balance exerciseとしてローターロッド運動を4週間実施した。運動機能検査としてローターロッド試験に加えて、beam walking test、incline test、ぶら下がり試験を実施した。2元配置分散分析法を用いて、老化と運動介入の効果について検定し、交互作用が認められた場合には、水準ごとに1元配置分散分析を行った。ローターロッドの持久時間については、運動介入の主効果が認められ、延長した。beam walking testの所要時間については老化と運動の主効果が認められ、交互作用も認められた。1元配置分散分析の結果、対照、運動の何れのマウスにおいても老化により所要時間は延長した。また、成体、高齢の何れにおいても運動介入により所要時間は短縮した。incline testについては、老化と運動の何れの主効果も認められ、老化により耐久角は増加し、運動介入によっても増加した。ぶら下がり試験については、老化により耐久時間は短縮したが、運動介入の効果は認められなかった。多くの指標において、老化による成績の退行は認められるが、4週間のローターロッドを用いたfocal balance exerciseによりロッドの成績に加えて、バランス機能を伴う運動タスク全般に改善が生じ、運動学習転移が確認された。一方、主に筋持久を要するぶら下がり試験への影響は認められなかった。本研究は、限られたリハ環境におけるfocal balance exerciseの波及的なバランス運動学習効果の可能性について示し、その有効なfocal exerciseの選択の重要性について示唆するものであった。今後、採取脳組織におけるシナプス受容体のリン酸化、後シナプス蛋白の集積および発現レベルの定量、更に、短時間介入効果との比較検討を行う予定である。
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