2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の肺過膨張をターゲットとする呼吸リハビリテーションの開発
Project/Area Number |
21500491
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
泉崎 雅彦 Showa University, 医学部, 講師 (20398697)
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Keywords | リハビリテーション / 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸リハビリテーション / シクソトロピー / 肺過膨張 / 呼吸困難感 |
Research Abstract |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)における「肺過膨張」は、呼吸困難感の原因であり、運動耐容能を低下させる最大の要因である。しかし、従来の運動療法主体の呼吸リハビリテーションは、肺過膨張自体をターゲットとはしていない。申請者らはこれまで、骨格筋の基本的性質であるシクソトロピーを利用し、肺気量を低下させる呼吸筋コンディショニング法を開発した。本研究の目的は、このコンディショニング法を用いた呼吸リハビリテーションが、肺過膨張を軽減し、COPD患者の健康関連QOLと運動耐容能を改善するか、明らかにすることである。まず、国立病院機構西新潟中央病院において、呼吸リハビリテーション目的に入院した安定期COPD患者を「呼吸筋シクソトロピーコンディショニング群」と「吸気筋トレーニング群」に割り振り、このコンディショニングの効果を検討している。現在研究は継続中であり、今後はさらに症例数を蓄積する必要がある。また、健常人を対象に運動負荷試験と二酸化炭素負荷実験を行い、呼吸困難感に対する作用を検討している。COPDの治療戦略において、呼吸困難感を軽減させることはきわめて重要な課題である。現在は健常人を用いて基礎的な知見を集積しているが、運動中、二酸化炭素負荷中のいずれでも、主観的な指標である呼吸困難感が、呼吸生理学的指標である呼吸数の増加と関連が深いことを示唆するデータを得ている。運動中の換気変化は、最初は1回換気量の増加が主体で、運動強度が上がるにつれて呼吸数の増加が主体となる。呼吸数の増加は呼気時間を短縮させるため、肺過膨張の原因となりうる。しかし呼吸数の増加、すなわち呼吸パターンの変化のメカニズムは明らかではなく、これを明らかにすることは今後の課題である。
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Research Products
(3 results)