2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の肺過膨張をターゲットとする呼吸リハビリテーションの開発
Project/Area Number |
21500491
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
泉崎 雅彦 昭和大学, 医学部, 准教授 (20398697)
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Keywords | リハビリテーション / 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸リハビリテーション / シクソトロピー / 肺過膨張 / 呼吸困難 |
Research Abstract |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)における「肺過膨張」は、呼吸困難の原因であり、運動耐容能を低下させる最大の要因である。申請者らはこれまで、骨格筋の基本的性質であるシクソトロピーを利用し、肺気量を低下させる呼吸筋コンディショニング法を開発した。我々は、chest wallの呼吸筋にシクソトロピーコンディショニングを行う新たな装置を開発した。本装置の効果をCOPD患者にて検討した。コンディショニングの前後で、胸郭可動性検査、6分間歩行試験を行った。その結果、肺過膨張のある人にコンディショニングを行うとchest wall mobilityが改善した。次に健常人に対してCO2再呼吸法を行い、体内のCO2濃度の増加に伴う呼吸困難と換気の変化をpiecewise regression modelで分析した。呼吸困難の閾値と呼吸数の閾値の相関と一致度を検討し、この結果をRespir Physio lNeurobiol誌に発表した。呼吸困難の閾値と呼吸数の閾値は有意な正の相関を示し、Bland-Altman plotでは、両者は良好な一致度を示した。これは呼吸困難が呼吸数の増加と関連が深いことを示す。つまり、呼吸困難が呼吸数を増加させる可能性を示唆する。これがCOPDに起きる可能性を否定できない。COPDの労作時呼吸困難の主因は動的肺過膨張である。換気ドライブ亢進による呼吸数増加は、エアートラッピングを発生させ、動的肺過膨張を進展させる。一方、呼吸困難には負の情動が発生する。負の情動は呼吸数を増加させることから、COPDにおいては、動的肺過膨張→呼吸困難→負の情動→呼吸数増加→動的肺過膨張という機序の存在が考えられる。この機序が明らかとなれば、肺過膨張に対する新たなアプローチが展開することが期待できる。
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Research Products
(6 results)