2011 Fiscal Year Annual Research Report
上肢麻痺に対して最も有効な治療戦略とは?~TMS・tDCSと集中的作業療法の併用
Project/Area Number |
21500493
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
角田 亘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00453788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 雅博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00266587)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 経頭蓋直流電気刺激 / 脳卒中 / 機能回復 / 上肢麻痺 / 作業療法 / 痙縮 |
Research Abstract |
脳卒中後上肢麻痺患者50人以上に対して、経頭蓋磁気刺激(以下TMS)と集中的作業療法の併用療法を行い、その安全性と有用性を検討した。TMSは健側大脳への1ヘルツ刺激として、毎日40分間(20分間にわたる1200発刺激を毎日2回。その強度は安静時閾値の90%)施行し、集中的作業療法は、毎日120分間の個別訓練(主にshaping訓練と反復動作訓練からなる)と120分間の自主トレーニングから構成した。通常は15日間プロトコールとして患者に適用したが、副作用もしくは有害事象の発生は全くみられなかった。また、Fugl-Meyer AssessmentおよびWolf Motor Function Testで評価した麻痺側上肢運動機能は、TMSと集中的作業療法の併用によって有意な改善を示すことが示された。これに加えて、本併用療法は、麻痺側上肢の異常に亢進した筋トーヌス(痙縮)を改善させる能力もある(麻痺側肘、手、手指関節屈筋群の改訂Ashworthスケールの点数が有意に減少を示す)ことが確認された。また、麻痺が重篤な症例に対してはレボドパの内服(毎日100mg)を併用したうえで本併用療法を施行、麻痺側上肢に顕著な痙縮がみられる症例に対してはボツリヌス毒素療法(最大240単位)を先行させたうえで本併用療法を施行したが、その結果として、レボドパ内服の併用やボツリヌス毒素療法の先行施行によって、TMSと集中的作業療法の臨床的有用性が増幅される可能性が示唆された。これに対して、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と集中的作業療法の併用については、予期せぬ装置の不具合などからその臨床的適用が遅れており、現時点では、いまだ十分な症例に対しての施行がなされておらず、その安全性と有用性についての十分な検討がなされていない。
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Research Products
(5 results)