2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポストポリオ症候群と耳鼻咽喉科・歯科的疾患との関連性についての研究
Project/Area Number |
21500498
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
青木 秀哲 Kanazawa Medical University, 医学部, 助教 (50298824)
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Keywords | ポストポリオ症候群 / 顎関節症 / 嚥下障害 / 顔面神経麻痺 / 味覚障害 / 難聴 |
Research Abstract |
リハビリテーション医学の分野において、ポストポリオ症候群(PPS)に関しての研究は概して四肢の筋力低下、および装具に関してのものが多く、頭頸部に関しての研究は皆無である。逆に耳鼻咽喉科や歯科でもPPSとの関わりを検討したような研究はみられない。しかしながら、PPS患者の多くが嚥下障害・顔面神経麻痺・難聴・顎関節症・味覚障害など耳鼻咽喉科・歯科的疾患に悩んでいる。日本国内には、PPSでかつ頭頸部疾患を有する患者は数万人存在すると考えている。その中でも、特に球麻痺型の患者にみられる嚥下障害などは、直接生命に関与した疾患であるため、早期にPPSとの関連性を証明し、その予防法・治療法について確立する必要があるため今回の検討を行った。 今年度は関西を中心に資料収集を行った。資料は、大阪歯科大学附属病院および和歌山県立医科大学附属病院にて収集した。被験者は11名で、収集した資料は顎関節MRI画像、顔面表情筋筋電図検査、咬合パターンの検査、顎模型の作成、味覚検査、聴力検査、嚥下機能検査の各検査結果である。また、被験者全員にすべての検査をルーティンとして行ったのではなく、参加可能な検査のみ協力を願った。顔面神経麻痺を訴えるものが半数以上にいたが、実際に麻痺と診断できるものはいなかった。しかし、顎関節の異常を自覚していないものの大半に骨変化や関節円板の前方転位といった異常がみられた。四肢の片側麻痺を有する患者においてはその患側に強くみられる傾向があった。また、特異的な口腔内所見としては多数のものに歯の咬耗がみられた。咬耗によっても顎関節症の発症が起こったと考えられる。今後、さらに東京地方で被験者を募り、症例数を増やして検討していく予定である。
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