Research Abstract |
市販されている電動車椅子を使用できない方でも残存能力を生かして自力移動を可能とするために,つぎのような知的電動車椅子および移動支援機器を製作し,一部,実機による走行実験を始めた: ・屋内走行時には「その場旋回中には衝突する危険性がない」という"狭い空間における移動に有用な特性"を保持しつつ,屋外走行時には「高さ5cmの段差の乗り越えが可能」な電動車椅子 ・操作者の操作能力に適応した各種操作インタフェースの搭載が可能であり,障害物との衝突を防止する機能を備えた,全方向移動が可能な移動支援機器 前者の段差の乗り越え可能な電動車椅子は駆動輪を中輪とし,前方と後方にも車輪を配した,6輪構造である.試作した車椅子では,前輪にオムニにホイールを使用することによって,コンパクトな構造のままで,前輪の直径を大きくすることができた.また,屋外走行時には,スライド機構によって,前輪後輪間の距離を大きくして,安定性を向上させている.この車椅子によって,屋内走行訓練によって獲得した移動能力を,屋外走行にも適用可能となる.また,様々な障害をもつ子ども達の移動支援のための,全方向移動能力を備えた移動支援機器を製作した.全方向移動は直感的な操作によって,行き止まり状態から抜け出すことができるので,判断力に劣る子ども達の移動支援機器として有用である.現在,「3つのボタンで構成される操作インタフェース」および「2つのボタンと1つのジョイスティックによって構成される操作インタフェース」を全方向移動支援機器に搭載して,ハンディキャップを持つ子ども達の移動体験への適用を開始した.この実機走行実験の中で,左右および後方への移動時の速度抑制および衝突防止機能による操作支援の有用性を確認することができた.また,操作能力が低い方々の自立移動を移動支援機器によって実現することの有用性が確認された.
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