2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500522
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 康広 神奈川工科大学, 創造工学部, 准教授 (80329309)
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Keywords | 盲ろう者 / 指点字 / 感情認識 / コミュニケーション支援 |
Research Abstract |
1.感情認識システムの基礎となる、指点字の打点認識システムの認識率向上のため、加速度センサの固定方法を改善した。加速度センサを固定している指輪と机上の接触による衝撃加速度による誤認識を減少させるために、布バンドと、布を巻いた半円形の指輪の、2通りの固定方法を開発した。評価実験の結果、いずれの固定方法も机上との接触による衝撃加速度は検出されなかった。布を巻いた半円形の指輪が最も感度がよく、打点指と打点位置の認識率が高かった。 2.22年度に引き続き、限定された場面(感情表現する文を変えずに、感情を打点の強さと速さで表現している場面)において、盲ろう者から打点された指点字に含まれる感情を認識するシステムの開発を進めた。21年度までに導出された感情認識アルゴリズム(被打点者が装着した加速度センサで検出した、打点によって生じる衝撃加速度の振幅と、打点開始から次の打点開始までの区間長(打点時間と休止時間の和)から感情を認識する)のシステム化を行った。被験者1名が、「う」6文字で、喜び、悲しみ、怒りを表現したときに、開発したシステムでどの程度感情を認識できるか、10セッションの実験を行った。その結果、各打点の感情認識率は64.5%であるのに対して、文の感情認識率は83.3%であった。感情別の文の認識率は、喜び70%、悲しみ80%、怒り100%であった。開発した感情認識システムにおいて、感情認識アルゴリズムが実現されていることが確認できた。 3.健常者に対する指点字による感情表現の教示方法のシステム化として、感情表現を促進する教示インタフェースを検討した。被験者15名に対して、感情表現を促す背景色や、打点の強さと速さを教示するパターンについてアンケート調査を実施した。また、指点字を習得していない健常者が、どの程度感情の打ち分けができていたかを、感情特徴ベクトルとその非類似度を用いて評価した。被験者内の感情特徴ベクトルの非類似度の範囲は、その被験者の感情表現の程度を表し、被験者間の感情特徴ベクトルの非類似度の範囲は、両被験者の感情表現の一致度を表していることが、明らかになった。
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