2009 Fiscal Year Annual Research Report
調光型特定波長吸収遮光眼鏡の視機能改善効果と白内障患者のQOLへの影響
Project/Area Number |
21500525
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
坂本 保夫 Kanazawa Medical University, 医学部, 講師 (60410304)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 洋 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60260840)
佐々木 一之 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (60004850)
山本 奈未 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助教 (70516426)
|
Keywords | 遮光眼鏡 / 視機能 / 白内障 / QOL / 調光レンズ |
Research Abstract |
本研究では、紫外線によって発色・退色する調光と可視光の狭帯域吸収という特性の異なるフィルターを1枚のレンズとして作成し、白内障患者の視機能に対して改善効果の高い発色濃度と吸収率の組合せ、および安全性を考えた調光濃度設定を探索することを目的としている。 初年度は調光型狭帯域吸収フィルターを作成するための基礎データ収集を行った。まず、レンズ濃度を計算シミュレーションし、最終的には3種×3濃度(計9種類)の検査用フィルターレンズ(屈折矯正度数なし、メニスカス型、反射防止コーティングとハードコーティング)を作成した。 (1)レンズの発色・退色変化、最大発色濃度および退色速度を検討するための調光濃度計測用レンズは、試作を繰り返した結果、目的とした次の3濃度(最大発色時の視感透過率τv87.5%,75%,50%)でほぼ作成することができた。 (2)(1)の調光レンズを分光分析し、最大発色時の分光透過率を基準にして、視機能検査用の固定濃度着色レンズ3濃度(τvは(1)と同様)を作成した。また(1)の調光剤は450nmと580nmに10%程度強い吸収ピークを持つことが判明した。580nmの吸収は狭帯域吸収剤の特性と重なることから、合成フィルターではどちらかの添加量を抑制することが可能と考えられた。 (3)狭帯域吸収レンズは当初、希土類金属(Nd)を用いて作成を予定していたが、吸収剤の価格高騰により入手困難な状況になったため、吸収波長域はやや広いが、吸収ピークはほぼ同等の着色色素を用いて作成を試みた。レンズの表面色はNdと異なり青味を帯びてしまうが、調光により吸収率を抑えることができれば、レンズの透明性も保持可能と考えられた。 来年度はこれらレンズを組み合わせて視機能検査を開始するとともに、最終的な調光型狭帯域吸収レンズの試作に入る予定である。
|