2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知症者を対象とした近時の成功経験の想起を促す電子日記帳の開発
Project/Area Number |
21500536
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
石渡 利奈 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 福祉機器開発部, 研究員 (10415359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 美里 東京大学, 工学系研究科, 助教 (20409668)
本村 陽一 産業技術総合研究所, サービス工学研究センター・大規模データモデリング研究チーム, チーム長 (30358171)
武澤 友広 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 福祉機器開発部, 流動研究員 (90455379)
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Keywords | 痴呆 / 電子デバイス・機器 / 人工知能 / ユーザーインターフェース |
Research Abstract |
電子日記帳の最大の特徴である蓄積した日記から成功経験を記した日記を抽出・呈示するアルゴリズムを開発するには,成功経験に含まれやすい単語を特定しておく必要がある。そこで,健常中高年者76名から収集した成功経験に関する記述に含まれる単語を国際生活機能分類のコードに基づき分類し,キーワード辞書を作成した。キーワード辞書に基づく分類アルゴリズムによって,前述の成功経験の記述を抽出できるかを評価したところ,全体の60%の記述を正しく抽出することができた。肯定的内容の記述を抽出する場合に一般的に用いられる,評判分析によって同様の抽出を行わせた場合は19%の抽出率であったことから,既存のアルゴリズムよりもかなり高い精度で成功経験の抽出を実現できるアルゴリズムを開発することができた。次年度において,電子日記帳を利用する認知症者から日記を収集し,キーワード辞書の単語の登録数を更に増やすことで実際の使用に耐えうるアルゴリズムを開発できる見込みは十分にある。 成功経験の日記を抽出するアルゴリズムを実装できても,認知症者が成功経験の日記を記録できなければ意味がない。そこで,「感謝される」等の成功経験を想起させるキーワードを,日記の記録の際に呈示する手法を採用した。複数のキーワードを呈示する際,全ての語を同時に呈示すべきか,一語ずつ逐次呈示すべきかを明らかにするため,若年認知症者2名と健常高齢者20名を対象にエピソード記憶の想起実験を行った。その結果,想起手掛かりとしてキーワードを逐次呈示した場合の方が,同時呈示した場合よりも経験を多く想起できた。さらに,キーワードの逐次呈示機能を実装した日記記録用アプリケーションを1名の若年認知症者が14日間使用したところ,12日間において日記を記録し,中には成功経験を記した日記も含まれていた。この結果は,認知症者による成功経験の記録を促す支援の手掛かりを掴めた点で意義がある。
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Research Products
(4 results)