Research Abstract |
非侵襲的な表面筋電図から筋収縮中の活動参加した運動単位活動の解剖学的・生理学的情報を視覚化するための手続きの構築を試みた. 手続きは三段階からなっていた.第一段階は,表面電極により記録した表面運動単位活動電位から,逆解析手法により,活動電流源の位置と強度,運動単位の発火時刻,筋線維伝導速度などのパラメータを推定,第二段階は,第一段階で推定されたパラメータと運動単位活動電位モデルを用いて表面運動単位活動電位列を再現,第三段階は,記録した表面運動単位活動電位列と第二段階で再現された表面活動電位列との比較,であった.現状では,第一段階における運動単位活動電位列の計測値は,シミュレーションにより生成した電位列を用いている.そして,シミュレーションで用いられた活動電流源数は1~10個であった.また,第三段階での比較には,相互相関関数を用いた. 1個の運動単位(半径2mm,深さ6mm,筋線維数20,筋線維密度6.8fiber/mm^2,発火頻度20Hz)を用いた三段階のシミュレーションの結果,仮想計測波形とシミュレーション波形との間の相互相関係数は0.980であった.推定された電流源の深さは5mm,活動強度は2.51nAm,筋線維伝導速度は4.034m/sであった.2個の運動単位を用いた同様のシミュレーションの結果,相互相関係数は0.958と低下した.このように,少数個の運動単位列については再現性が高く,運動単位の解剖・生理学的情報をもとに活動を可視化できる可能性が示唆された.しかしながら,活動参加する運動単位数が増加するにつれて,逆解析により種々のパラメータ推定することの難しさが原因となり,再現した活動電位列との相互相関係数が低下する問題と,どの程度の個数まで推定,再現可能かという課題が浮上した.
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