2011 Fiscal Year Annual Research Report
創造的身体表現活動による態度変容と異文化理解-文化に固有な舞踊運動の体感を通して
Project/Area Number |
21500553
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
柴 眞理子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (70144558)
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Keywords | 舞踊運動 / 体感 / 異国人とのデュエット / 国際研究者交流 / 韓国 |
Research Abstract |
平成22年に韓国芸術総合学校で、日韓の舞踊学専攻学生10名を被験者に実施した体感による認知実験の結果に基づき、平成23年度は、二つの被験者群((1)既知の異国人とのデュエット(2)未知の異国人とのデュエット)を設定し、二人組での舞踊活動時の体感実験を行う予定であった。しかし、東日本大震災により、平成22年度の実験の時期が大幅にずれこみ、その影響を受けて平成23年度に2カ国の学生10名が一同に介しての実験は不可能となった。そこで、韓国人学生2名(1名は平成22年度の実験に参加、1名は今回初参加)を日本に迎えての実験へと変更し、以下の課題での実験を実施した。 【実験課題】(1)実験材料(日本人作成の『楽しい』)の動きを覚えて二人で踊る(2)ピアノ曲演奏での二人での即興(3)テーマ「分かち合う喜び」での二人での即興(4)ピアノ曲での即興から作品へ(5)お茶の水女子大学舞踊教育学コースの卒業公演での体感。以上の(1)から(4)については、既知の異国人とのデュエットと未知の異国人とのデュエットの2つを実施した。 その結果、平成22年度は、実験者が設定した実験材料の動きを課題とした実験であったのに対し、今年度は課題がピアノ曲と言葉で示したテーマであったため、動きは一から被験者に委ねられることとなり、その結果、コンタクトの動きに終始する傾向となり、実験者が考えていたのとは異なる展開(コンタクトしていることによる安心感から離れにくい)となり、二人で踊ることにより得られる体感が狭い範囲にとどまったと考察された。従って、平成23年度の実験は、当初の目的とは違って、「コンタクトインプロビゼーションによってもたらされる体感」の事例を示すこととなった。
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