Research Abstract |
本研究では,動きが伝える感性情報を心理的指標を用いて定量化し,その構造を分析するとともに,物理情報との相互関連性を検討した. 評定対象の作成するため,スタートからゴールまで30mの距離に3台のハードルを設置し,小学5年生10人のハードル走を撮影した.第1ハードルまでの距離を12m,インターバルを5.5mとし,第2ハードルの側方にビデオカメラを設置した.また,動きの評価を行うために,7つの感性語を評定項目とした質問紙を作成した.感性語は,総合的な評価に関わる語として【うまい】と【美しい】,時間的・力動的な評価に関わる語として【速い】,【リズミカル】,【滑らか】,【力強い】,【勢いがある】を選択した.左端を0点,右端を10点としたVisual Analog Scaleを用いて評価を行った.被験者は,大学生50名とした. 各感性語に対する評定の平均値を求めたところ,うまい,美しいと評価される動きは,速くて,リズミカルで,滑らか,力強いと評価されていた.次に,各評定対象について各感性語間の相関係数を求めたところ,【うまい】と【美しい】に高い相関が認められたことから,うまさと美しさがほぼ同義に解釈されていることが示された.なお,これらの語と【滑らか】,【リズミカル】,【速い】は高い相関を示したが,【力強い】と【勢いがある】は,相関が低かった.また,速度と各感性語の相関係数を求めたところ,ハードル前の速度との相関がハードル後の相関よりも高かったことから,ハードルを越える前の一連の動きがハードリング全体の評価に強い影響を与えていると考えられる.さらに,【速い】,【力強い】,【勢いがある】の評価は,踏切1歩前の動作に要した時間によってほぼ決定されていることが示された.
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