2009 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス民衆教育草創期の身体教育と体操実施に関する身体運動文化論研究
Project/Area Number |
21500563
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
榊原 浩晃 Fukuoka University of Education, 教授 (50255220)
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Keywords | 身体教育学 / 身体運動文化 / イギリス / 民衆教育 / 体操運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,まずイギリスにおける身体教育(physical education)の用語出現の民衆教育草創期(1830年代から1840年代)に遡り,その意味内容を明らかにしようとすることである。平成21年度は以下の3つの研究実績が挙げられる。 第1に,当時外来文化として定着していたドイツ式体操(German style gymnastics)とそれらとの関連を身体運動文化論として捉え,スイスからの移民したカール・フェルカー(Carl Voelker)のドイツ系の体操実施方法や内容を明らかにした。移住直後のロンドンにおいてロンドン体操協会(London Gymnastic Society)というクラブ組織を運営し,会員の獲得を促していたことが判明した。フェルカーの体操指導とその内容は,民衆教育における体操実施の基盤をなしたとみなされる。 第2に,physical educationのタイトルを有する英語の初出本Physical Education(1838年)を執筆したサムエル・スマイルズ(Samuel Smiles)が彼の主著『自助論』(Self-Help)の中で記述していた身体教育論とイギリスにおける身体運動文化(スポーツを含める)の内容を明らかにした。Physical Education(1838年)の身体教育論は,主著の『自助論』の中でも叙述されていた形跡を確認することができた。明治期の翻訳語でそれらがどのように伝えられていたかも一部検証した。 第3に,イギリスにおける身体教育論が制度的に確立する,1910年前後の時代の身体教育論と学校衛生施策との関連を明らかにした。
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