2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500567
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
近藤 卓 Tokai University, 文学部, 教授 (60266450)
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Keywords | 子ども / 死の認識 / 発達 |
Research Abstract |
平成21年度は、死の概念の三要素(不動性、不可避性、不可逆性)の理解の実態を、面接調査法によって明らかにすることとしていた。ただ、先行研究を検討した結果、小学生の死の理解が三要素のみでは解釈しきれないことが示唆されており、そのことから成人の死の理解がさらに複雑なものであることが推察された。 そこで、本年度は大学生を対象として先行的に面接調査を試み、おとなの死の概念の全体像を探索的にあきらかにすることを目指した。同時に、すでに実施した小学生対象の死のイメージ調査(第12回日本学校メンタルヘルス学会(東京、2009年1月)にて発表)を再分析・考察し、次年度以降の調査の方向性を探ることとした。また、次年度以降の調査の対象地域を現地調査し、教員らとの情報交換をおこなうとともに、子どもの生活を支える文化的歴史的な背景の特徴を調査した。 結果的に、大学生対象の半構造化法による面接調査は7名に実施し、興味深い結果を得た。それによれば、死の概念は不動性、不可避性、不可逆性以外に、それらに統合しきれない「生まれ変わり」「死後の世界」「見守っている」などの思いかあり、従来の三要素では解釈しつくせないことがわかった。 小学生対象調査の再分析・考察からは、先行研究で言われる不可逆性を理解できていない子どもの率の高さは、生まれかわり思想の影響を排除することによって、問題とならないことがわかった。さらに、小学生においても死の三要素以外に、生まれかわり思想、新生願望、宗教的観念などが、死の意識に混在していることが明らかとなった。これらは、従来言われていた哲学性・文学性と一部が重なるものであるが、筆者はそれらを含めて物語性という新たな概念で統合したいと考えている。
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