2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500567
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
近藤 卓 東海大学, 文学部, 教授 (60266450)
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Keywords | 子ども / 死の認識 / 発達 |
Research Abstract |
前年度の研究成果から、個別面接ではなく小グループによるブレイン・ストーミングの手法が適切であること、「死の物語性」と呼ぶべき死の概念の領域の存在することが示唆された。 これらの結果を踏まえて、今年度は死の概念がある程度確立していると考えられる中学生を対象として、「死について思い浮かぶこと」というテーマで、ブレイン・ストーミングをおこなった。具体的には、神奈川県、大阪府、沖縄県の中学校へ出向き、それぞれ1年生から3年生の5~6名(男女2~3名ずつ)の計約40名を対象として実施した。実際のブレイン・ストーミングでは、事前に訓練を積んだ大学院生・学部生が、各グループに2名ずつファシリテータとして張り付き進行することとした。 各学校において、産出された語はそれぞれ300~400であり、それをKJ法によって構造化し、A型図解化とB型文章化をおこなった。その結果、中学生の死についての概念は、「死の要素(不動性、不可逆性、不可避性)」「死の物語性(死んでも心の中に生きる、死後の世界、死に関する言い伝え)」「死についての思い」「喪失のプロセス」「現代社会における生死」「その他」の6つの領域によって構成されることが分かった。 先行研究でも様々な形で指摘されていた「死の物語性」が、今回の調査から明確にされたことが大きな成果である。このことにより、それ以外の領域も含めた、死の概念の多面的な調査用紙を作成することができる。これにより次年度には量的調査を実施することで、小学生から中学生段階における死の概念の発達過程を明らかにすることができると考えている。
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