2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500591
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 伸午 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (10169310)
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Keywords | 肩甲骨 / 鎖骨 / 三次元動作解析 / 腱板断裂 |
Research Abstract |
腱板断裂(大断裂)患者1名と肩関節疾患のない健常者11名を被験者として、日常生活動作時の肩甲骨・鎖骨・上腕骨の動作を電磁式モーションキャプチャーシステム(Polhemus社製Liberty)にて測定し、胸郭、鎖骨、肩甲骨および上腕骨の動作について三次元解析を行った。 方法;(1)結髪動作 立位にて、両手で後頭部を触れる動作(すなわち髪を結える動作)、(2)結帯動作 立位にて、両手を背部(第4腰椎レベル)へ回す動作(すなわち帯を締める動作)を測定した。静止立位(上肢下垂位)をスタート肢位とし、3秒間で結髪・結帯動作位置まで上肢を動かし、1秒その肢位を保持、3秒で上肢下垂位に戻る動作をそれぞれ3回実施し、肩甲骨・鎖骨の平均角度を算出した。 結果;結髪動作については、腱板断裂患者の方が、肩甲骨上方回旋・後傾・外旋角度および鎖骨後方並進・挙上角度は大きい値を示した。一方、健常群の方が上腕骨の挙上角度が大きかった。結帯動作については、腱板断裂患者の方が、肩甲骨上方回旋・後傾・外旋および鎖骨後方並進角度が大きい値を示した。 考察;腱板を断裂している患者における肩甲上腕関節の機能は低下しているため、健常群よりも上腕骨の挙上角度が小さいが、肩甲骨・鎖骨を大きく動かすことにより、肩甲上腕関節の動きを代償していることが示唆された。したがって、腱板断裂患者においては、肩甲帯の機能を向上させることにより結髪・結帯動作といった日常生活動作レベルの動作は可能になることが示唆された。 この知見は、リハビリテーションにおけるプログラム立案にあたり、重要な臨床的意義をもつと考えられる。
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