Research Abstract |
本研究は,熟練した運動指導者や優れた技能の保持者が有する経験知の伝達・学習に関して,経験の浅い運動指導者が気軽に利用できるようなWeb-baseの経験知獲得支援システム開発の一環として,そのコンテンツ作成を目的に行われた.特に,対象動作を野球の投球動作指導に限定し,熟練指導者あるいはプロ野球経験者などの高い専門的知識を有する被験者の意見が集約される動作(コーチング・ノード)の同定を今年度の目的とした.野球指導者およびプロ野球投手経験者に対し,1)面談方式,2)郵送方式,3)講習会方式で投球動作に関するアンケート調査を実施した.アンケートの調査項目は,先行研究や先行インタビューでの意見を参考にして,4~7件法の30項目を選定した.回答者の内訳は,プロ野球投手経験者112名,社会人・大学野球指導者22名,高校野球指導者78名,少年野球指導者69名などであった.このうち,プロ野球1軍投手を10年以上経験し,且つ,プロ野球で指導も経験している20名(P群)とアマチュア野球で指導を25年以上行っている19名(A群)を今回の分析対象とし,コーチング・ノードの同定を行った.その結果,1)着地時の肩の開き具合は、投球方向と平行またはややクローズド(0~15。)にする(P群の95%が賛成,A群の95%が賛成),2)着地時の踏み足の方向は投球方向に真っ直ぐまたはややクローズド(0~20。)にする(P群95%賛成,A群90%賛成),3)振り上げ脚を振り上げた際に、軸足がずれないようにする(P群95%賛成,A群79%賛成),4)ストライド中,グラブ側の前腕を内側に捻る(回内する)(P群85%賛成,A群79%賛成),5)振り上げ足を上げる際には,軸足の膝を外(3塁側)に向けない(P群80%賛成,A群84%賛成)など計9項目がいずれの群においても70%以上の合意が認められた.
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