2009 Fiscal Year Annual Research Report
安静立位姿勢制御のフィードバック遅れ時間の推定方法に関する比較研究
Project/Area Number |
21500595
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
藤永 博 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (20238596)
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Keywords | 重心動揺検査 / 足圧中心動揺 / 立位姿勢制御 / フラクタル / ラテラリティ |
Research Abstract |
足圧中心動揺のデータから推定される安静立位姿勢制御のフィードバック遅れ時間(FDT)は、標準的な重心動揺検査の項目である足圧中心の移動速度や移動面積などでは説明できない立位姿勢制御系の機能特性の指標として期待されている。FDTは必ずしも制御系の欠陥を意味するものではなく、むしろ、開ループ制御系の機能性の高さ、あるいは姿勢制御系の生理的なゆらぎを許容する「機能的あそび」を反映する可能性がある。 平成21年度は、先行研究で取り上げられたFDTの推定方法の比較を行うために、いくつかの方法で計算を試みた。しかし、自発性姿勢動揺制御の「戦略」に関わると推察されるラテラリティの問題が計算の過程で浮上した。足圧中心は足底面の圧力分布の中心(重みつき平均)である。左右の足の圧中心はそれぞれの足の接地面上にあるが、二足立位時の足圧中心は、左右の足圧に著しい差がないかぎり両足の圧中心のほぼ中間にある。しかし、今回分析した子どもの足圧中心のデータをみると、左右の足の圧中心動揺が対称になっているケースは少なかった。安静立位時の自発性姿勢動揺制御では、姿勢制御系(運動系)の「効果器」である左右の足が、必ずしも同じような機能をはたすわけではなく、二足が同調(連動)あるいは協応して動揺制御にあたる場合もあれば、独立して動揺制御をする場合もあると考えられる。これらは、状況に応じた姿勢制御戦略の使い分けかもしれないし、立位姿勢の歪みに原因するかもしれない。 今年度の研究で、FDTを推定する際はラテラリティ(左右差)を考慮する必要があることが明らかになった。当初の研究計画を一部変更し、平成22年度はラテラリティの問題に焦点を当てる。
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Research Products
(3 results)