2009 Fiscal Year Annual Research Report
プレッシャーと運動パフォーマンスに関する心理・生理・行動連関の総合的研究
Project/Area Number |
21500596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関矢 寛史 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40281159)
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Keywords | プレッシャー / 心理的ストレス / 運動スキル / テニス |
Research Abstract |
プレッシャーが競技者の心理、生理、行動面に及ぼす影響を探索的に調べることを目的とした。過去にプレッシャーを体験したことのあるテニスプレイヤー7名を被調査者として、それぞれ約30分の半構造化面接を行った。被調査者はいずれもA級に属し、4名は国体等の全国大会経験者であった。基幹質問項目はプレッシャーがかかる状況、その時の心理的および生理的変化やプレイの変化などであった。ボイスレコーダーで録音した音声をテクストデータに変換した後、3名の研究者がKJ法(川喜田,1967)を用いて分析を行った。切片化したテクストデータを323のラベルに分類し、類似したラベルを集めて39の表札を作成した。それらの表札には、「対戦相手が格下の時にプレッシャーがかかる」「団体戦の方がプレッシャーがかかる」応援がすごくてプレッシャーを感じた」などのプレッシャーがかかる状況に関するもの、「相手が好調に見える」「コートの見え方が変わる」「配球を考えられなくなる」「マイナス思考になる」などの心理的変化に関するもの、「ドキドキする」「手足が震える」「腹痛が起こる」「脚がつる」などの生理的変化に関するもの、ダブルスでペアとのコミュニケーションが減る」「ウォーミングアップを入念にする」などの行動的変化に関するものがあった。また、テニスのプレイに関する行動的変化として、「ポーチに出られなくなる」「ネットに出なくなる」「足が動かなくなる」「姿勢が棒立ちになる」「安全なコースを狙う」「サーブは入れにいく」「サーブでネットが増える」「振れなくなる」「手打ちになる」「球が遅くなる」「回転がかかりすぎる」「スライスが増える」「ガシャる」などがあった。これらの変化から、プレッシャー状況においては、成功から失敗に対する注意バイアスが生じ、失敗を回避しようとする行動的変化が生じることが推察された。
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