2010 Fiscal Year Annual Research Report
プレッシャーと運動パフォーマンスに関する心理・生理・行動連関の総合的研究
Project/Area Number |
21500596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関矢 寛史 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40281159)
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Keywords | プレッシャー |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は、前年度に行った質的研究によって帰納的に分析された要因をこれまでのプレッシャー研究で明らかとなっている要因に加え、量的研究である質問紙調査によって一般化可能なプレッシャー関連要因を明らかにすることであった。プレッシャーに関する心理、生理、行動的側面から見た原因、症状、対処法を含む105項目の質問およびパーソナリティに関する17項目の質問から成る質問紙を大学生競技者270名から回収し、そのうちプレッシャーによりパフォーマンスが低下した経験を持つと回答した者200名を対象として主因子法、プロマックス回転を用いた因子分析を行った。その結果、12因子が抽出され、累積寄与率は55.1%であった。それらの因子は、1.運動制御の失調、2.身体浮遊感・脱力感、3.公的自己意識の増加、4.集団雰囲気の悪化、5.心理的緊張、6.内向的性格、7.安全な方略の選択、8.身体発熱感、9.身体疲労感、10.意識的制御、11.試合前のコンディションの悪さ、12.試合前のコンディションの良さ、であった。第1因子の「運動制御の失調」は、動きのかたさ、動きの縮小、力みなどの要因を含み、プレッシャーの先行研究で不足していた動作解析の重要性が浮き彫りになった。また、第7因子の「安全な方略の選択」についても、従来のプレッシャー研究では調べられていない。また、第11因子と第12因子から、プレッシャーによるパフォーマンスの低下は、試合前のコンディションが悪い場合だけでなく良い場合においても発現することが明らかとなった。次年度以降においては、動作解析を含む実験研究により、プレッシャー下の心理、生理、行動的要因の関係性を明らかにする。
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