2012 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツチームの競技力向上を目的としたスポーツカウンセリングの実践的研究
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21500617
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
土屋 裕睦 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (80272186)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メンタルトレーニング / チームビルディング / ソーシャルサポート / 競技力向上 / 心理的サポート / 集合的効力感 / 集団凝集性 / 構成的グループ・エンカウンター |
Research Abstract |
本研究は、スポーツチームの競技力向上ならびに試合場面での実力発揮に役立つ心理的サポートのあり方について、スポーツカウンセリングの実践を通じて明らかにしようとする、縦断的かつ実証的研究である。この目的を達成するために、①「実力発揮をもたらす心理状態の探求」、②「心理サポートの実力発揮に与える影響」、③「チームビルディング・プログラムの開発・実践」で構成されており、平成24年度は研究目的①に対応し、大学新入部員に対して心理的サポートプログラムが実施された。具体的には、大学新入運動部員にランチョンセミナーを実施し、彼らにチームビルディングプログラムを提供しながら、所属チームに対する心理的な適応過程を時系列的に検討した。さらに、集合的効力感と集団凝集性から、スポーツチームの心理状態をアセスメントする尺度を開発し、その信頼性ならびに妥当性を検討した。これらの研究成果は、スポーツ心理学会にて公表した。 続いて、研究目的②に応えるため、平成21年~23年度の文献研究から構築された「実力発揮と心理的サポートの因果関連モデル」について、大学スポーツ等において日本一になった経験のあるコーチに対して、インタビュー調査を実施した。そこではスポーツチーム要因(集団動機づけ、リーダーシップ、ソーシャルサポート、他)と心理的サポート担当者の要因から、心理的サポートが機能するための具体的な条件が検討された。 そして最後に、研究目的③に対応して、本年度も引き続き、上記のエッセンスを組み込んだチームビルディング・プログラムを開発し、チームに提供しながら介入効果を検討した。その結果、構成的グループ・エンカウンター技法に準じた展開が、スポーツチームのパフォーマンス発揮に役立つことが示唆された。この研究成果の一部は、イギリスで開催された国際学会ICSEMIS 2012 (Glasgow, UK)にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は第1部「実力発揮をもたらす心理状態の探求」、第2部「心理サポートの実力発揮に与える影響」、第3部「チームビルディング・プログラムの開発・実践」で構成されており、平成25年度の完成を目指している。現在までに5つのチームにてチームビルディング・プログラムが実施されており、その効果を検討するための尺度開発もほぼ終えていることから、おおよそ期限内に研究課題が達成可能と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、「モデル構築⇔仮説検証⇔事例検討」の循環的枠組みの中で、複数の研究を同時並行で進める予定であった。そのため、年間の全仕事時間の35%のエフォートを配分する予定でいたが、本務にてコース長・研究委員長に加えて、さらにいくつかの役職を担当することになり、当初見込んだエフォートが圧迫されつつある。最終年度において全体の成果をまとめ上げるためには、効率的に作業を進めることが必要となる。よって、人的資源の有効活用を図りたい。
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Research Products
(9 results)