2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における水中運動の中心動脈伸展性に対する効果
Project/Area Number |
21500624
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鰺坂 隆一 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70151058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 清司 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30282346)
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Keywords | 中心動脈伸展性 / 温熱 / 高齢者 / 水中運動 |
Research Abstract |
平成21年度は水中運動における至適水温を明らかにするために、温浴が高齢者の低下した中心動脈伸展性を改善するか、3つの水温条件で検討した。 65歳以上の運動習慣の無く明らかな疾患に罹患していない健常な男性高齢者8名および対照としての20歳代の運動習慣の無い健康な男性7名を対象に検討をおこなった。被験者数の目標は10名なので今後追加する予定である。30分間の安静座位の後、安静時における測定を行い、水温を変えて心窩部までの水位にて座位にて15分間水浸し、その後、保温に務めながら15分毎に1時間後まで温熱効果を検討した。水温条件は予備検討の結果に基づき、中立温(35℃)、微温(38℃)および高温(40℃)の3条件とし、日をかえて測定した。 体温は、直腸温測定装置(温度ロガーLT-8B、グラム株式会社製)およびプローベ(LT-ST08-11、グラム株式会社製)を用いて直腸温を測定した。中心動脈伸展性は脈波伝播速度測定装置(formPWV,コーリンメディカルテクノロジー社製)を用いて脈波伝播速度(PWV)を評価した。本法は既に多くの報告がなされ確立された方法である。また、電子血圧計による血圧測定を同時に行った。 その結果、若年者においては、3水温条件のいずれにおいても、中心動脈伸展性指標PWVに有意の変化を認めなかった。一方、高齢者においては、中立温浴では、有意の変化を認めなかったが、微温、高温条件では温浴終了後30分において有意の中心動脈伸展性指標PWVの改善を認めた。 加齢に伴い大動脈などの太い動脈(中心動脈)の伸展性は低下し、収縮期血圧の上昇および拡張期血圧の低下をもたらす。これらはいずれも冠動脈疾患の罹患リスクを高めることから、高齢者の健康寿命を延長させるためには中心動脈伸展性の低下の改善が重要である。本研究の結果は温浴が高齢者における中心動脈伸展性を改善する可能性を示唆した点で意義があると考えられる。この結果に基づき、今後、水中運動の効果を検討する予定である。
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