2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドーピング規制薬物(アドレナリン受容体作動薬)の影響における分子機構の解明
Project/Area Number |
21500628
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北浦 孝 金沢大学, 保健管理センター, 准教授 (00143868)
|
Keywords | ドーピング / 筋肥大 / シグナル伝達 / アドレナリン受容体 / 薬理学 |
Research Abstract |
本年度は,成長期ラットにドーピング規制薬物(アドレナリン受容体作動薬)のクレンブテロールの鏡像異性体の(+)-S-体と(-)-R-体が骨格筋の肥大と筋線維タイプ移行に関わるmRNAの定量解析に加えて、ウェスタンブロット法を活用し蛋白質レベルからも関連する因子の変化の解明に取り組んだ。さらにβ2アドレナリン受容体の遺伝子多型(SNP)がアドレナリン受容体作動薬にたいする反応の違いを示す可能性があるため、それらの解明に取り組んだ。 その結果,アドレナリン受容体作動薬の鏡像異性体が骨格筋の核内転写調節因子の遺伝子発現に異なる作用を示し、蛋白質レベルでもmRNAと必ずしも同期しない変化があることを明らかにした。これらは特にアポトーシス関連の蛋白分解に関連する因子(Foxol・Atrogin)の量の調節差が速筋と遅筋で異なっていることがその一因であることが明らかとなった。 これは,通常薬物がラセミ体として使用された場合に生じるサリドマイドのような副作用の危険性を除去し,薬物を安全に使用するために必要な貴重な資料を提供するものであり,人の場合では受容体のSNPで更に影響が異なる可能性があり、一層の検討が必要であることが認められ、結果的に生じる筋の変化は同じであっても,そこに至る過程で直接または間接的に作用すると言う複雑な形で影響を及ぼすことが明らかであり,本研究は安全な薬物使用のためには,単なるパフォーマンス向上を目的とした安易な薬物使用を防止する上で社会的にも意義あるものである。 次年度は,最終年度であり、新たな培養系での資料追加と不足しているデータの補充を行い、これまでの成果をまとめ、学会発表および論文資料として取りまとめ、公開する予定である。
|
Research Products
(8 results)