Research Abstract |
認知的スキルに関する検討を対人場面での行動へと進めた。具体的には,大学生を対象として,性交経験及び避妊行動と自己管理スキル,社会的スキルなどとの関連を検討した。首都圏の国立大学の学生108名(男子47名。女子61名)を対象として,性交経験,避妊行動などの性行動,及び,それらに関運すると考えられる,性別,年齢,自己管理スキル,社会的スキル,セルフエスティームなどに関する無記名式質問紙調査を行った。その結果,自己管理スキル,社会的スキル,セルフエスティームは相互に有意な正の相関を持っていた。また,性交経験に関してロジスティック回帰分析を行った結果,年齢が高いほど,自己管理スキルが低いほど,また.社会的スキルが高いほど性交を経験しているという有意な結果が得られた(オッズ比はそれぞれ,1.61,0.80,1.10)このことは早すぎる性交経験を防ぐために,性教育において自己管理スキルを育成することが有効である可能性を示唆するものといえる。 また,昨年度に引き続き,高等学校科目保健の「現代社会と健康」領域の「精神の健康」及び「生涯を通じる健康」領域の「保健・医療制度と地域の保健・医療機関の活用」を題材として.認知的スキルの育成に着目した保健授業を開発し,研究協力者が公立の高等学校で実際に授業を実施した結果に関して分析を行った。その結果,認知的スキルは保健の授業により育成可能であり,また,精神の健康に貢献するものであるという示唆を得た。
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