2011 Fiscal Year Annual Research Report
抑うつとメタボリックシンドロームに共通するマーカーの検索-予防・介入研究に向けて
Project/Area Number |
21500665
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坪井 宏仁 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20319338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 啓之 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (20403701)
松永 昌宏 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特任助教 (00533960)
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Keywords | 精神的ストレス / 抑うつ / メタボリックシンドローム / 慢性炎症 / 酸化 / 予防 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度採取した血清の未測定項目(酸化LDL、炎症性サイトカイン、抗炎症性サイトカイン)を測定し、各種脂肪酸と炎症・酸化指標、抑うつ状態の関連性を検討し、精神的抑うつ状態(CES-Dで測定)とメタボリックシンドロームに共通する生物学的指標を同定し、うつ病の遷延化および生活習慣病の予防に有益な情報を得ることを目的に解析に取り組んだ。 その結果、男性一般集団ではパルミチン酸(飽和脂肪酸)脂肪酸中比率が抑うつが正の相関を示し、アラキドン酸(ω6多価不飽和脂肪酸)脂肪酸中比率が抑うつ度と負の相関関係を示した。また、血清α-トコフェロール濃度/パルミチン酸濃度比は、抑うつ度と負の関係を示した。一方女性一般集団においては、先行研究と同様に、抑うつの程度はドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸(いずれもω3多価不飽和脂肪酸)と負の相関関係を示した。サイトカインについては、血清IL-6濃度が抑うつ度および一部の血清脂肪酸濃度と正の相関傾向があったが、血清酸化LDLに関しては各指標との関連性は認められなかった。 飽和脂肪酸の中でもパルミチン酸が男性の抑うつ度と関連することが示され、α-トコフェロールはその防御因子となる可能性が示唆された。また、アラキドン酸はω6多価不飽和脂肪酸であるため、炎症・酸化を亢進し抑うつと正の相関を示すとの仮説と逆の結果となったが、アラキドン酸は脳の重要な構成成分でありカンナビノイド受容体を刺激するため、抑うつと負の関連性を示したのかもしれない。特に、男性における知見は新しいもので、意義ある結果で、今後詳細を調査する必要がある。
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Research Products
(6 results)