2011 Fiscal Year Annual Research Report
心拍のゆらぎ現象から評価した植物芳香成分による月経前症候群の緩和作用
Project/Area Number |
21500669
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Research Institution | 四天王寺大学 |
Principal Investigator |
松本 珠希 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (90248047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 達也 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 准教授 (00314211)
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Keywords | 月経前症候群 / 自律神経活動 / 心拍変動 / パワースペクトル解析 / 植物芳香成分 / 睡液クロモグラニンA / 心筋電気的安定性 |
Research Abstract |
平成23年度の研究では、前年度に引き続き、嗅覚系を介する植物芳香刺激が月経周期に伴う心身不快症状の改善をもたらすのか、その背景には生命神経系と称され、心身相関の指標ともなる自律神経機能の改善が存在するのかを検討することを目的とした。芳香成分に関しては、フローラル系芳香精油の代表格でもあるラベンダーに加え、日本古来のなじみの深いカンキツ系精油である「ユズ」を用いた。対象者は、正常月経周期を有する健常女性30名で、PMSの程度は軽度から重度まで多岐に亘っていた。実験デザインは、クロスオーバー比較試験とし、全ての被験者に対し、卵胞期と黄体後期に各3回(ユズ・ラベンダー・水)、芳香前後の心理神経内分泌動態の変化を測定した。芳香量は10μ〓とし、鼻下30cm離した芳香拡散器から放出される香りを10分間嗅いでもらった。その結果、香りの感受性(強度・好み・快適性・親しみ感)には、月経周期による影響は認められず、ユズに対する好み・快適性・親しみ感の指数が他の2種の刺激と比較し、有意に上昇した。POMS感情プロフィール検査により、香りの心理的効果を評価したところ、負の感情因子(緊張不安・抑うつ・怒り敵意)がユズとラベンダーの芳香刺激により顕著に低下した。ラベンダーでは、「活気」の因子得点が月経周期に関係なく低下したが、ユズでは両月経周期において増加の傾向が認められた。芳香刺激に伴う自律神経活動動態の変化については、現在もなお分析中であるが、精神的ストレスに反応し、交感神経活動の指標ともなる唾液クロモグラニンA濃度は、ユズの芳香刺激により、顕著に低下することが認められている。植物芳香成分が有する癒しの効果が科学的に解明されつつあり、ラベンダーやイランイラン等によるPMS改善効果も報告されているが、本研究結果を考慮すると、和カンキツ精油であるユズも「月経前に訪れる心と体の不協和音」と喩えられるPMSの軽減に役立ち、その効果の発現には自律神経系が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)