2010 Fiscal Year Annual Research Report
禁煙が注意集中パフォーマンスに及ぼす生理心理的効果の検討
Project/Area Number |
21500671
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
東山 明子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20228711)
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Keywords | 大学生 / 一時的断煙 / 禁煙 / 精神負荷作業 / 樹木画 / 注意集中パフォーマンス / 運動能力 / 積極性評価尺度 |
Research Abstract |
具体的内容:(1)禁煙挑戦学生の禁煙過程における精神負荷作業の作業量や精神健康度や曲線傾向の変化や樹木画の物語性について検討した。その結果、精神動揺増大化あるいは硬直化、精神健康度の低下、等が観察された。また禁煙過程では、1カ月目や2カ月目に曲線動揺や硬直等があらわれ、3カ月目ではまだ十分に回復したとはいえなかった。樹木画からは、禁煙過程が、さまざまな葛藤から少し解放され、画質が明るく伸びやかに変容し、自身の揺るぎない物語として表現されていることが分かった。(2)一時的断煙が注意集中パフォーマンスや運動能力に及ぼす影響を検討した。その結果、注意力では喫煙者は喫煙することによって成績な向上したが、非喫煙者の成績に届くものではなかったことから、喫煙者の喫煙行為は一過的に短期断煙時よりも成績を向上させるが、喫煙習慣そのものは注意パフォーマンスを本来よりも低下させていることが伺えた。運動能力は、喫煙者は喫煙によりエネルギー発揮力が向上するが、これは一時的断煙によるパフォーマンスレベルの低下を喫煙の平常状態に戻す一過性の喫煙効果と考えられ、喫煙者は喫煙行為により運動能力が平常レベルに戻るのであって、一時的断煙時には力が発揮できないことが示唆された。(3)喫煙者と非喫煙者の心理的相違を検討した結果、特に積極性に現れると思われた。そこで、大学生を対象とした積極性評価尺度の開発を試みた。 意義:、禁煙過程の心理的動揺が観察できた。また、積極性を評価する尺度を作成した。 重要性:従来なされてこなかった禁煙過程の観察により、禁煙過程の留意点が明らかにされた。また、ネガティブな心理状況の把握の検査はいくつか用いられているが、積極性を評価する尺度はこれまでなかったことから、尺度の精度を高めることにより、大学生や喫煙の有無に限定せず、さらに広い対象に用いる心理的要素測定尺度の開発の可能性ある研究であると思われる。
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