2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規生活習慣病改善転写因子TFE3が骨格筋の代謝および運動能に与える影響の検討
Project/Area Number |
21500677
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯田 薫子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50375458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 嘉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80361351)
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Keywords | 転写因子 / トランスジェニックマウス / 骨格筋 / グリコーゲン / 糖代謝 |
Research Abstract |
転写因子TFE3(transcription factor binding to IGHM enhancer 3)はこれまで免疫などに関与する転写因子として知られていたが、近年我々は、肝臓に強発現させたTFE3が、糖代謝に関わる遺伝子の発現を顕著に上昇させると共に、インスリン感受性の増強、蛋白合成促進作用、グリコーゲンの合成促進作用などを発揮することを報告した。本研究では骨格筋におけるTFE3の作用に着目し、骨格筋特異的にTFE3を発現するトランスジェニックマウスを用い、骨格筋でのTFE3が糖・エネルギー代謝や、運動能に関わる影響を明らかにすることを目的とした。 実験にはα-actin遺伝子プロモーターを用いて骨格筋組織特異的にTFE3を多量に発現するトランスジェニックマウス(Tgマウス)を用い、トランスジーンを有さない同胞対照群との比較にて、骨格筋での糖代謝関連遺伝子の発現やエネルギー代謝や運動能などに対するTFE3の影響を検討した。 検討の結果、Tgマウスの骨格筋においては、hexokinase 2, glycogen synthase 1といったグリコーゲン合成経路に関わる遺伝子の発現が著明に上昇していることが確認され、さらに骨格筋内へのグルコース取り込みに関与するGLUT4の発現上昇も認められた。これら遺伝子の発現上昇にともない、Tgマウスの骨格筋には有意なグリコーゲンの蓄積が確認された。また強制運動負荷における運動耐容能は、対照群と比較してTgで有意に増加していた。さらに、呼気ガス分析において、Tgでは対照群と比較して活動時に糖代謝優位に代謝が行われていることが確認された。以上のことから、転写因子TFE3は骨格筋における糖代謝や運動耐容能の向上に有効的な効果をもたらす因子となる可能性が示唆され、今後の新たな糖代謝異常に対する治療への応用が期待される。
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