2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規生活習慣病改善転写因子TFE3が骨格筋の代謝および運動能に与える影響の検討
Project/Area Number |
21500677
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
飯田 薫子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (50375458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 嘉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80361351)
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Keywords | 転写因子 / TFE3 / 筋肥大 / 糖代謝 / 蛋白代謝 |
Research Abstract |
本研究では、骨格筋特異的に転写因子TFE3を発現するトランスジェニックマウス(Tgマウス)を用い、TFE3が骨格筋の糖代謝・脂質代謝といった代謝的な面や、増殖・肥大といった発生的な面に与える影響を明らかにすることを目的としている。 前年度の検討でTgマウスの骨格筋においてはhexokinase 2,glycogen synthase 1,glucose transporter 4といった糖代謝に関わる遺伝子の発現が著明に上昇していることが確認されたため、今回グルコース負荷試験、インスリン負荷試験などを行い、個体の糖代謝の変化について検討を行った。しかしながら定常状態では、Tgマウスと野生型マウスとの間に、明らかな差異は認められなかった。また脂質代謝関連遺伝子についても解析を行ったが,脂肪酸合成系遺伝子,脂肪酸輸送系遺伝子,脂肪酸分解関連遺伝子の遺伝子発現に一貫した変化は認められなかった.一方Tgマウスは、生後4週齢から10週齢にかけて体重が野生型に比べて有意に重く、成長が早い傾向にあり、またトレッドミルを用いた長期運動トレーニングを行うと、Tgマウスでは野生型に比して筋重量が有意に増加することが確認された。さらに、カルジオトキシン(CTX)筋注による筋の再生モデルを用いて筋の再生・肥大能を検討したところ、CTX投与後の再生過程において、Tgマウスでは筋の肥大傾向を呈することが確認された。 以上のことから、TFE3は筋の成長肥大に対して影響をもたらす因子となる可能性が示唆され、今後、筋疾患など医学分野や、筋力向上などスポーツ分野への研究応用が期待される。次年度は、転写因子TFE3が筋肥大・筋分化にもたらす影響についてさらなる検討を行い、また、筋肥大に密接に関与するタンパク合成系への関与などについて検討することで、その分子メカニズムを解析していく予定である。
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Research Products
(2 results)