2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成運動ではなく骨吸収抑制運動の同定とその機序解明
Project/Area Number |
21500681
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北村 敬一郎 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80283117)
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Keywords | 運動処方と運動療法 / 骨粗鬆症 / マウス頭頂骨 / 運動加速度記録システム / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
実施内容 (1)初年度に開発した加速度計測システムを用い、昨年度実施した平地歩行・階段昇降・垂直ジャンプ運動時の腰(第4腰椎)、膝(大腿骨外側穎)、足頚(腓骨外果)への負荷加速度の解析を行った。 (2)昨年度までのマウス新生仔の頭頂骨を用いた加速度刺激に対する骨芽および破骨細胞のマーカー酵素活性とDNAマイクロアレイで得られた網羅的な遺伝子発現データのネットワーク解析を行った。 (3)(1)と(2)の対応から、根拠に基づいた中高年にも無理なくできる骨粗鬆症予防のための骨吸収抑制運動を同定した。 実施結果 マウスのin vitro実験からわずか0.5-Gの加速度刺激でも66%の個体で破骨細胞マーカー酵素活性の低下と骨芽細胞マーカー酵素活性の増加が認められた。さらに、DNAマイクロアレイで得られた網羅的な遺伝子発現データのネットワーク解析の結果、骨代謝系の遺伝子発現への影響が見られ、中でも2G刺激後6時間でα1コラーゲン(骨基質タンパク)の発現が10倍に上昇することを見いだした。また、健常ボランティアを対象にしたポータブル加速度記録装置による運動時過重負荷骨での運動加速度測定から、水平歩行だけでも腰部へ0.5~1-Gの加速度が加わることを明らかにした。 意義と重要性 これまで動物実験の低強度(0.3-Gバイブレーション)加速度刺激でどうして海綿骨が特異的に増加したのか不明であったが、われわれの解析から低強度刺激でも骨吸収の抑制と同時に骨形成も起こることが認められた。今後は、中高年に対し無理な骨形成運動を進めるのではなく、中高年に適した日常の歩行こそが骨吸収抑制作用があることを根拠と共に社会へ提示したい。また、積極的歩行は、骨粗鬆症の発症を遅らせるばかりでなく、糖尿病等の発症も防ぎ医療費削減の大きな可能性もある。
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